代物弁済の基本となつた消費貸借債務に利息制限法違反の利息が包含 されていても、既に任意に代物弁済が行われた場合には、その代物弁 済は有効と解すべきである。
利息制限法違反の利息と代物弁済の効力。
判旨
利息制限法所定の制限を超える利息を含む債務について任意に代物弁済が行われた場合、弁済としての性質に変わりはないため、後日その無効を主張することはできない。
問題の所在(論点)
利息制限法の制限を超える利息を含む債務の支払に代えて不動産の所有権を譲渡(代物弁済)した場合、債務者は後から当該代物弁済の無効を主張できるか。
規範
制限超過利息を包含する債務であっても、債務者が任意に弁済を行った以上、後にその効力を裁判上で争うことはできない。この理は、金銭による弁済のみならず、その変形である代物弁済(民法482条)についても同様に妥当する。
重要事実
上告人は、被上告人から10万円を月利1割3分という利息制限法を大幅に超える利率で借り受けていた。その後、上告人は元利合計27万円の支払に代えて、自己が所有する建物の所有権を被上告人の承諾を得て譲渡した(代物弁済)。後に上告人は、基本債務が利息制限法や公序良俗(民法90条)に反し無効であるから、本件代物弁済も無効であると主張して争った。
あてはめ
本件では、上告人と被上告人の合意に基づき、制限超過利息を含む27万円の債務消滅を目的として建物の所有権譲渡がなされている。これは債務の履行に代えて他の給付をする代物弁済にあたる。利息制限法違反の債務であっても、既に任意に弁済が完了している場合には、法的安定性の観点からその効力を維持すべきである。代物弁済は、目的物を交付することで債務を消滅させる点において通常の弁済と性質を等しくするため、通常の弁済と同様、一旦任意になされた以上はもはや無効を主張することは許されない。
事件番号: 昭和32(オ)322 / 裁判年月日: 昭和34年6月30日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】金銭債務の担保としての代物弁済契約において、目的物の価格が債務額を著しく超過する場合であっても、公序良俗違反等の特段の事情がない限り有効であり、家屋明渡し遅延に関する損害賠償額の予定も原則として有効である。 第1 事案の概要:上告人(債務者)は、約20万円の借入金等の債務を担保するため、時価100…
結論
制限超過利息を含む債務の代物弁済であっても、任意に行われた以上は有効であり、その無効を主張することはできない。
実務上の射程
本判決は、利息制限法改正前の「任意に支払った制限超過利息の返還を認めない」という旧通説(みなし弁済規定の前提的考え方)に準拠している。現行の利息制限法下および最高裁大法廷判決(昭39.6.24)以降の実務では、制限超過利息は当然に元本に充当され、元本完済後の超過支払分は不当利得返還請求が可能であるため、本判決の結論(無効主張不可)をそのまま現在の答案に用いる際は注意を要する。ただし、代物弁済を弁済と同視する構成自体は、他の論点でも参照しうる論理である。
事件番号: 昭和30(オ)711 / 裁判年月日: 昭和32年12月17日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】利息制限法を超過する利息の約定がある消費貸借契約や、それに基づく代物弁済の予約は、公序良俗に反する等の特段の事情がない限り、直ちに全部が無効となるわけではない。また、予約完結時の目的物の価額が本来の給付額を上回っていても、予約締結時を基準として不当といえる特段の事情がない限り、予約完結権の行使は有…