判旨
不当利得返還義務における返還額の算定にあたっては、目的物の性質や用途に応じた適正な価格(統制額等)を適用すべきであり、用途が異なる価格告示を漫然と適用することは許されない。
問題の所在(論点)
法律上の原因なく受領した物品を消費した場合の不当利得返還額の算定において、当該物品の実際の用途とは異なる用途(主食用)を対象とした価格統制告示を適用できるか。
規範
不当利得返還請求権(民法703条、704条)に基づき利得の数額を算定する場合、当該利得物件の価格は、その物件の実際の性質および用途に即した価格(統制価格がある場合はその適用範囲内の価格)によって算定されるべきである。
重要事実
被上告人は、将来の配給割当を予想して食糧配給公団所有の生澱粉を受領したが、結局配給割当は行われなかった。被上告人はこの生澱粉を焼竹輪の製造原料(工業用・加工用)として消費した。原審は、不当利得の数額算定において、食糧配給公団が「主食用」として販売する場合の販売価格を定めた物価庁告示を適用し、返還額を算出した。
あてはめ
本件生澱粉は被上告人によって焼竹輪製造原料として受領・消費されたものであり、その実態は「主食用」ではなかった。適用された物価庁告示は、公団が主食用として販売する場合の価格を指定するものである。したがって、主食用でない用途で消費された本件において、当該告示をそのまま適用して利得額を算定することは、目的物の用途に照らし法令の適用を誤ったものといえる。
結論
実際の用途が主食用でない以上、主食用価格を定めた告示に基づき利得額を算定することはできず、原判決は破棄を免れない。
実務上の射程
不当利得の「利得」の評価額を論じる際、価格統制がある場合には、単に告示の有無だけでなく、その告示が想定する用途・性質と事案の実態が一致するかを確認すべきであるという実務上の留意点を示す。
事件番号: 昭和30(オ)427 / 裁判年月日: 昭和31年7月17日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】裁判上の自白が成立した場合、その自白が錯誤に基づき、かつ、その取消しの主張立証がなされない限り、裁判所および当事者はこれに拘束される。 第1 事案の概要:上告人(買主)が被上告人(売主)に対し、売買代金の請求等に関し訴えを提起した事案。上告人は、第一審以来、本件売買の目的物件である生甘藷合計356…