判旨
上告審において、原審が適法に行った事実認定を非難し、証拠の採否を争う主張は、判決に影響を及ぼす明らかな法令違背には当たらない。
問題の所在(論点)
原審による事実認定の不服および証拠の評価に関する主張が、民事訴訟法上の適法な上告理由(判決に影響を及ぼす明らかな法令違背)を構成するか。
規範
上告審は法律審であり、原審が適法に確定した事実はこれを拘束する。したがって、証拠の取捨選択や事実の認定が原審の専権に属する事項である限り、これに対する非難は、上告理由となる「判決に影響を及ぼすことの明らかな法令の違背」には該当しない。
重要事実
上告人は、原審が認定した事実関係を不服とし、特定の書証や人証を根拠に原判決の事実認定に誤りがあると主張して上告を提起した。これに対し、原審は当該証拠について、認定事実に抵触する限度で信用できないとして退けていた。
あてはめ
上告人が引用する各書証および人証は、いずれも原審において検討済みであり、原審の認定事実に抵触する範囲で信用性が否定されている。このような原審の証拠評価に基づく事実認定のプロセスは適法なものであり、これに対する非難は単なる事実誤認の主張にすぎない。ゆえに、法令解釈の誤り等の法的瑕疵は認められない。
結論
本件上告は、適法な上告理由を欠くため、棄却されるべきである。
実務上の射程
事実認定の争いは上告理由にならないという民事訴訟の基本原則を確認する事例。司法試験においては、民事訴訟法の基礎として、法律審である上告審の役割と上告理由(民訴法312条等)の限界を理解する上で参照されるが、判決文が極めて短いため、具体的なあてはめ論理として活用する機会は限定的である。
事件番号: 昭和33(オ)449 / 裁判年月日: 昭和34年1月8日 / 結論: 棄却
転借人を占有代理人として間接占有を有する債借人が占有を奪われたとするには、占有代理人の所持が意思に反して第三者によつて失わしめられた場合でなければならない。
事件番号: 昭和32(オ)475 / 裁判年月日: 昭和34年3月6日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】上告理由が原審の証拠取捨や事実認定を非難するにすぎない場合は、民事訴訟法上の適法な上告理由には当たらない。 第1 事案の概要:上告人は、原審が行った証拠の取捨および事実の認定に誤りがあるとして上告を提起した。これに対し、最高裁判所は上告理由の性質を検討した。 第2 問題の所在(論点):事実認定の誤…