判旨
親子関係の存否を確認する訴えにおいて、懐胎の契機となる情交関係があった事実は、同棲等の状況から推認することが可能であり、情交の具体的な日時までを個別に特定・認定する必要はない。
問題の所在(論点)
親子関係の存在を認定するにあたり、懐胎の契機となった情交関係の具体的な日時を個別に確認・特定する必要があるか。
規範
親子関係の認定にあたっては、鑑定結果のみならず、懐胎時期における父母の同棲状況、出産予定日の計算根拠、その他の諸材料を総合的に考慮して判断すべきである。また、懐胎の前提となる情交関係については、必ずしもその日時を具体的に特定することを要せず、生活実態からその存在を推認することで足りる。
重要事実
上告人と相手方(D)は、一定期間同棲を続けていた。その期間中にDが懐胎し、出産に至った。証人の供述によれば、出産予定日の起算日は最終月経の第一日とされており、これに基づき懐胎時期が推定された。原審は、これらの同棲事実や鑑定書を含む諸材料に基づき、上告人と子の間の親子関係を肯定した。これに対し、上告人は情交の具体的な日時が確認されていないこと等を理由に上告した。
あてはめ
本件では、上告人とDが同棲を継続していた事実が認定されており、かかる状況下でDが懐胎した以上、両者の間に情交があったと推認するのが相当である。出産予定日の起算点に関する証言も合理性を有し、懐胎時期と情交可能性の整合性も認められる。したがって、情交の具体的な日時を精緻に特定せずとも、同棲という生活実態に基づき親子関係を肯定した原審の判断に違法はない。
結論
親子関係の認定において、情交関係があった日を具体的に確認しなければならないわけではなく、同棲事実等からこれを認定できる。よって、本件の親子関係は肯定される。
実務上の射程
認知の訴えや親子関係不在確認の訴え等において、情交の「一点」を証明することは困難な場合が多いが、本判例は同棲等の外形的・状況的事実による情交の推認を許容しており、立証負担の軽減に資する。実務上は、鑑定結果に加え、懐胎可能期間における接触可能性を総合考慮する判断枠組みの根拠として機能する。
事件番号: 昭和32(オ)263 / 裁判年月日: 昭和34年11月24日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】認知請求の訴えにおいて、懐胎時期における情交関係の認定と鑑定結果を総合して父子関係を認めることは、自由心証主義の範囲内として適法である。 第1 事案の概要:被上告人(子)は昭和28年4月6日に出生した。原審は、被上告人の母Dと上告人(父とされる者)が昭和27年6月末日から7月上旬頃に情交関係を結ん…