判旨
約束手形の受取人である銀行が、支払場所である同行支店において支払期日に手形を所持し、呈示の準備をして支払を待っていた事実は、支払のための呈示と同一の効力を有する。
問題の所在(論点)
手形の支払場所が所持人自身の営業所等である場合において、現実の呈示行為がなされていないときでも、支払のための呈示(手形法38条等)があったと認められるか。
規範
支払場所が手形所持人の営業所等である場合において、所持人が支払期日に当該場所で手形を所持し、呈示の準備をして支払を待つことは、支払のための現実の呈示がなされたのと同一の効力を生ずる。
重要事実
約束手形の受取人(所持人)である被上告銀行は、本件手形の支払期日に、支払場所として指定されていた被上告銀行の支店において本件手形を所持していた。銀行側は支払のための呈示の準備を整えて支払を待っていたが、結局支払を受けることができなかった。
あてはめ
本件では、支払場所が手形所持人である銀行の支店と一致している。銀行は当該期日に同支店で手形を現に所持し、かつ呈示の準備をして支払を待っていた。このような客観的事実があれば、形式的な呈示行為を欠いても、手形法上の呈示義務を実質的に履行したものと評価できる。
結論
支払のための呈示があったと認められ、遡及権行使や遅延損害金発生の要件を満たす。
実務上の射程
支払場所が銀行であるいわゆる「銀行渡手形」において、当該銀行が所持人である場合の呈示の省略を認める射程を持つ。答案上は、呈示の有無が争点となる場面で、場所的合致と準備の事実を認定して本法理を適用する。
事件番号: 昭和34(オ)500 / 裁判年月日: 昭和35年4月14日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】白地手形の所持人が白地部分を有効に補充した上で、口頭弁論期日において振出人に手形を呈示した場合、主債務者に対する請求として有効であり、呈示後の手形法所定の利息を含めた支払請求が認められる。 第1 事案の概要:被上告人(原告)は、上告人(被告)が振り出した白地部分のある約束手形を所持していた。被上告…