判旨
売買の目的物に隠れた瑕疵があるとして民法570条(現562条以下)に基づき契約を解除するためには、当該瑕疵が引渡当時(または売渡当時)に既に存在していたことを要する。
問題の所在(論点)
売買の目的物に隠れた瑕疵があるとして契約解除を主張する場合において、その瑕疵はいつの時点で存在している必要があるか(民法570条の瑕疵の存在時期)。
規範
売買の目的物の瑕疵に基づく解除権等の責任が認められるためには、その瑕疵が売買の目的物の引渡当時(または売渡当時)において既に存在していることを要する。
重要事実
上告人(買主)は、本件売買の目的物に隠れた瑕疵があり、それによって売買の目的を達成できないと主張して、民法570条に基づき売買契約を解除する意思表示を行った。しかし、原審の認定によれば、本件目的物の引渡当時において、主張されるような隠れた瑕疵が存在していた事実は認められなかった。
あてはめ
本件において、上告人が主張する瑕疵は、本件売買の目的物の引渡当時において既に存在していたことが認められない。瑕疵担保責任(現・契約不適合責任)の前提となる瑕疵の存在時期は、引渡(または売渡)当時であるべきところ、その事実が認められない以上、上告人による解除の意思表示は効力を生じない。
結論
瑕疵が引渡当時に存在したと認められない以上、解除は認められず、上告を棄却する。
実務上の射程
現行法下の契約不適合責任(民法562条以下)においても、不適合の存否は「引渡し」の時を基準とすべきとされる。本判決は、責任追及の前提となる「瑕疵(不適合)」の存在時期を限定した点で、現在でも答案作成上の事実認定の指針となる。
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