判旨
行政機関職員定員法に基づく免職処分につき、思想信条や組合活動を理由とする不利益取扱いであるとの事実が認められない以上、当該処分の憲法適合性を判断するまでもなく違法とはいえない。
問題の所在(論点)
行政機関職員定員法に基づく免職処分が、特定の思想信条や組合活動を理由とする不当な差別的取扱いとして、憲法に違反し違法となるか。
規範
行政処分が特定の思想信条や正当な組合活動を理由とする不利益取扱い(憲法14条、19条、28条等に抵触する態様)に該当するか否かは、処分の実質的な理由という事実認定の問題に帰結する。処分の根拠法規(本件では行政機関職員定員法附則7項)に基づき、客観的に定員削減等の必要性に応じてなされたものであれば、特段の事情がない限り、憲法判断を待たずして当該処分は適法である。
重要事実
上告人らは、行政機関職員定員法(昭和24年法律126号)附則7項の規定に基づいて免職処分を受けた職員である。上告人らは、本件免職処分が実質的には共産党員であることや組合活動を行ったことを理由とするものであり、憲法に違反し無効であると主張して争った。
あてはめ
原審において、本件免職処分が上告人らの主張するように共産党員であることや組合活動を行ったことを「実質上の理由」とする事実は認められないと認定された。被上告人(行政側)は一審以来、一貫して定員法附則7項の規定に従い有効に処分を行った旨を主張しており、弁論の全趣旨に照らしてもこの主張は維持されている。したがって、処分が不当な目的で行われたという前提事実を欠く以上、憲法違反を判断する余地はない。
結論
本件免職処分は違法ではなく、上告人らの請求は棄却されるべきである。
実務上の射程
行政処分の取消訴訟等において、処分が思想信条等の不当な動機に基づくと主張される場合、まずは「処分の実質的な理由」という事実認定が先行し、その事実が認められない場合には憲法上の争点(差別的取扱いの該否)を判断する必要がないという実務上の判断順序を示すものとして活用できる。
事件番号: 昭和28(オ)867 / 裁判年月日: 昭和31年4月10日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】契約書に「賃貸借」等の文言が用いられていても、証拠により認定された契約の経緯や当事者の合理的意思に照らし、実態が明渡しの猶予に過ぎないと認められる場合には、文言にかかわらず賃貸借契約の成立は否定される。 第1 事案の概要:上告人と被上告人は、昭和22年5月に建物および動産に関して「賃貸」「賃貸期間…