判旨
不法占有に基づく所有物件の引渡を求める給付の訴えについては、その請求自体によって訴えの利益が認められる。
問題の所在(論点)
不法占有に基づく所有権的請求権としての物件引渡請求訴訟において、訴えの利益が認められるか。
規範
給付の訴えにおいては、原告が自己に給付請求権があると主張し、その給付を求めること自体によって、原則として訴えの利益(必要性)が認められる。権利の存否は本案審理の問題であり、訴えの適法性とは区別される。
重要事実
上告人は、被上告人に対し、自己の所有する物件を不法に占有しているとして、その引渡しを求める訴えを提起した。これに対し、上告人の相手方は、本件において訴えの利益を欠く旨を主張して争った。
あてはめ
本件訴訟は、不法占有に基づく所有物件の引渡を求めるという「給付の訴え」の形式を採っている。給付の訴えは、原告が給付判決を得ることによって執行力を得ようとするものであり、その請求の形式自体から紛争解決の必要性が肯定される。したがって、上告人が主張するような理由によって訴えの利益が否定されることはない。
結論
本件訴えには訴えの利益が認められ、適法である。
実務上の射程
給付の訴えにおける訴えの利益は、原則として請求の形式自体によって肯定されるという基本原則を明示したものである。実務上、給付の訴えで訴えの利益が否定されるのは、既に執行力を有する債務名義が存在する場合などの例外的なケースに限られることを示唆している。
事件番号: 昭和33(オ)632 / 裁判年月日: 昭和35年9月16日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】不法占有によって生じた債権に基づき留置権を主張することは、民法295条2項の類推適用により認められない。 第1 事案の概要:被上告人(所有者)が、物件を占有する上告人に対し、所有権に基づき物件の引き渡しを求めた。これに対し上告人は、昭和19年に物件を買い受けた旨を主張し、仮に買い受けが認められない…