判旨
不当労働行為(労組法7条1号等)の成否につき、使用者側に反組合的意思がある場合でも、労働者に顕著な懲戒事由があり、解雇が反組合的意思の実現とは無関連に行われたと認められるときは、不当労働行為は成立しない。
問題の所在(論点)
使用者側に反組合的意思が推認される事情が存在する場合において、労働者側に重大な服務規律違反(顕著な懲戒事由)があるときの不当労働行為の成否。
規範
労働者に対する不利益取扱いが不当労働行為(労組法7条1号)にあたるかは、使用者の主観的な意図(不当労働行為意思)の有無により判断される。使用者側に反組合的意思の徴憑がある場合であっても、被解雇者側に顕著な懲戒事由があり、解雇が反組合的意思の実現とは無関連に、単に違法な争議行為等の責任を問う見地から行われたと認められる場合には、当該解雇は正当な組合活動を理由とするものとはいえず、不当労働行為は成立しない。
重要事実
第一組合に所属する上告人らは、争議行為に際し、会社施設の無断使用、会社職員に対する監禁、外部応援団体と共謀した暴行、深夜の団体交渉の強要など、正当な範囲を著しく逸脱する越軌行為に及んだ。これに対し、使用者側は上告人らに対し懲戒解雇を通知した。上告人側は、使用者側に以前から第一組合の切り崩しや第二組合の育成といった反組合的な態度があったことから、本件解雇には反組合的意図が隠されており不当労働行為にあたると主張して争った。
あてはめ
本件における組合活動は、監禁や暴行を伴うものであり、組合活動としての正当な範囲を著しく超えるものである。このような越軌行動の責任を問うことは使用者として当然の措置である。使用者側に一部反組合的態度と目される事実があったとしても、本件解雇はそれらの意思の実現とは関係なく、もっぱら違法争議の責任を問う見地から行われたものと解される。また、外部団体の暴行についても上告人らの統制の責任を免れしめるものではなく、懲戒事由は極めて顕著である。
結論
本件解雇は正当な組合活動を理由とした不当労働行為にはあたらず、適法である。
実務上の射程
不当労働行為の成立要件における「不利益取扱いの原因」の判断枠組みを示す。使用者側に不当労働行為意思と懲戒意思が併存する「混合動機」の事案において、懲戒事由が極めて重大であれば、不当労働行為意思の存在が否定(または切断)され得ることを示唆しており、実務上、解雇の正当理由の有無と不当労働行為意思の有無を峻別する際の基準となる。
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