一 成否未定の将来の不当労働行為を事前に禁止する救済命令であつても、当該不当労働行為がさきになされた不当労働行為と同種若しくは類似のものであつて、審問終結当時その発生のおそれがあると認められる場合には、違法でないと解するのが相当である。 二 労働委員会が将来の不当労働行為を禁止する場合における当該不当労働行為の証明は、審問終結当時を客観的にその発生のおそれのあることの証明をもつて足るものと解すべきである。
一 将来の不当労働行為を事前に禁止する救済命令の適否 二 労働委員会が将来の不当労働行為を禁止する場合における当該不当労働行為の証明の程度
労働組合法7条,労働組合法27条4項,労働組合法28条,労働組合法32条,労働組合法27条1項,労働組合法27条3項,中央労働委員会規則40条,中央労働委員会規則43条2項
判旨
労働委員会は、審問終結時に不当労働行為が解消されていても、将来繰り返される蓋然性が高い場合には、過去の行為と同種・類似の行為を事前に禁止する不作為命令を発することができる。
問題の所在(論点)
労働委員会が、既に解消された不当労働行為に対し、将来の同種行為を禁止する不作為命令(事前禁止命令)を発することは、労働組合法上の救済命令として適法か。
規範
不当労働行為救済制度の目的は、行為を是正し原状を回復することにある。そのため、審問終結時に当該行為が解消されていたとしても、再び繰り返される虞れが多分にあると認められる場合には、過去の行為と同種若しくは類似のものに限り、予めこれを禁止する不作為命令を発することが許される。この「繰り返される虞れ」の証明は、将来発生すべき事実の相当の蓋然性の証明、すなわち客観的に発生の危険が存在することの証明をもって足りる。
重要事実
上告人会社は、昭和31年6月から10月にかけて、非組合員(臨時工)の賃金遅配を5〜12日に留めた一方、組合員(本工)に対しては13〜30日も遅延させる差別的取扱いを行っていた。同年11月以降、会社は賃金遅配を解消したが、これは労働委員会が救済命令の申立てに基づき調査を開始したために余儀なくなされたものであった。
あてはめ
本件では、会社が差別的取扱いを解消したのは労働委員会の調査開始という外部的要因による「余儀ない」措置であった。この事実に照らせば、救済命令が発せられない限り、将来も再び同種の差別的取扱いを繰り返す危険が多分に存在していたといえる。したがって、審問終結時に差別が解消されていても、将来の発生について相当の蓋然性(客観的な危険性)が認められるため、将来の差別を禁止する命令を発する要件を満たす。
結論
将来の不当労働行為を事前に禁止する本件命令の主文第一項は、労働組合法の趣旨に照らし適法である。
実務上の射程
救済命令の「事後救済性」の原則に対する例外として、将来の同種行為の禁止(不作為命令)が可能であることを示した。答案上は、命令発出時に行為が終了している場合の「救済の必要性・利益」の文脈で使用する。認定にあたっては、解消の動機(自発的か否か)や再発の蓋然性を具体的事実から抽出することが重要となる。
事件番号: 昭和25(オ)231 / 裁判年月日: 昭和26年10月16日 / 結論: その他
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