判旨
予備的併合において、裁判所が主位的請求を一部棄却する場合、その棄却部分については予備的請求の当否を審判すべきであり、これを怠ることは審理不尽・判断遺脱にあたる。
問題の所在(論点)
予備的併合の形態をとる訴訟において、裁判所が主位的請求の一部を棄却する場合、残余の予備的請求について判断を示す必要があるか。主位的請求の「一部認容・一部棄却」時における予備的請求の審判義務の範囲が問題となる。
規範
訴えの予備的併合において、主位的請求の一部が認められない場合、裁判所は、その認められない部分に対応する予備的請求について審理・判断を行わなければならない。主位的請求の一部棄却を判断したのみで、予備的請求の審判を要しないとすることは、審理不尽または判断遺脱として違法となる。
重要事実
上告人(賃貸人)は、被上告人(賃借人)に対し、建物の明渡しを求めて提訴した。請求の根拠として、(1)解約申入れ(主位的請求)、(2)賃料延滞による解除(第1予備的請求)、(3)無断転貸による解除(第2予備的請求)の三つを順次予備的に主張した。原審は、主位的請求に基づき、建物階下の明渡しは認容したが、二階部分の明渡しについては理由がないとして排斥した。その際、原審は二階部分の棄却に関し、予備的主張(2)および(3)について判断を示さなかった。
あてはめ
本件において上告人は、建物の明渡しという単一の目的達成のため、複数の請求原因を順位を付して併合している。原審は、主位的請求(解約申入れ)により階下部分は認容したが、二階部分は棄却した。このとき、二階部分に関しては主位的請求が否定されたことになるため、当初付された予備的請求の順位に従い、賃料延滞(2)や無断転貸(3)の有無を審理すべきであった。それにもかかわらず、予備的主張について判断を要しないとした原審の判示は、訴訟法上の審判義務を尽くしていないといえる。
結論
主位的請求を一部棄却する場合には、その部分について予備的請求を審判すべきである。本件の原判決には審理不尽、判断遺脱の違法があるため、破棄を免れない。
実務上の射程
民事訴訟法における客観的併合、特に予備的併合の審判順序に関する基本判例である。一部認容時であっても、一部棄却が発生する限りにおいて予備的請求の「条件」が成就するため、裁判所の審判対象が移動することを論証する際に用いる。
事件番号: 昭和30(オ)83 / 裁判年月日: 昭和31年5月1日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】占有権に基づく請求において、占有の事実認定は原審の適法な事実確定に基づくべきであり、主張されていない事実や原審の認定に反する事実を前提とした上告理由は採用されない。また、予備的併合において主位的請求が認容された場合、予備的請求について判断する必要はない。 第1 事案の概要:被上告人が、本件建物の占…