請求人が商標登録出願した商標が登録商標と類似し、指定商品も同一又は類似するとして右出願が拒絶され又は拒絶されるおそれがある場合、あるいは請求人の使用する商標が登録商標と類似し、指定商品も同一又は類似するとして商標権者等から使用差止め等の請求を受け又は受けるおそれがある場合には、請求人には右登録商標につき不使用取消審判請求をする法律上の利益がある。
商標登録の不使用取消審判を請求する法律上の利益がある場合
商標法(平成3年法律第65号による改正前のもの)50条
判旨
不使用取消審判の請求には「法律上の利益」を要する。自身の出願が登録商標と類似するとして拒絶された場合や、商標権者から使用差止請求等の警告を受けた場合には、当該利益が認められる。
問題の所在(論点)
旧商標法50条(現行法50条)に基づく不使用取消審判における請求人適格の要件である「何人も(何人でも)」の解釈、および取消しを求める「法律上の利益」の有無の判断基準が問題となった。
規範
商標法50条1項に基づく不使用取消審判の請求人は、不使用商標登録の取消しを求める「法律上の利益」を有することを要する。具体的には、①請求人が商標登録出願した商標が、当該登録商標と類似し、かつ指定商品も同一・類似であるために、当該出願が拒絶され、または拒絶されるおそれがある場合、あるいは②請求人の使用する商標が、当該登録商標と類似し、かつ指定商品も同一・類似であるために、商標権者等から使用差止め等の請求を受け、または受けるおそれがある場合には、取消審判を請求する法律上の利益がある。なお、拒絶査定が確定している場合であっても、制度上の矛盾はないため直ちに利益が否定されるものではない。
重要事実
被上告人(審判請求人)は、自身が行った商標登録出願が、上告人(商標権者)の所有する登録商標を引用して拒絶された。また、被上告人は、自身が販売する商品に使用している商標「B」が、上告人の登録商標の商標権を侵害するものであるとの警告(通告)を上告人から受けていた。これに対し被上告人が不使用取消審判を請求したところ、上告人が請求人の「法律上の利益」を争った。
事件番号: 平成4(行ツ)125 / 裁判年月日: 平成4年11月20日
【結論(判旨の要点)】商標登録の取消審判を請求し得る「利害関係人」とは、当該登録の存続により自己の権利や法的利益に直接的な影響を受ける者に限られ、単なる事実上の利害関係を有するに過ぎない者は含まれない。 第1 事案の概要:本件では、被上告人から商標「ポピー」の商標登録の取消審判が請求された。上告人は、被上告人が当該商標…
あてはめ
被上告人の商標登録出願は、上告人の本件各商標を引用商標として拒絶されており、自らの出願登録を妨げられている状態にある(上記規範①)。また、上告人より商標権侵害であるとの通告を受けており、現に使用する商標についても差止め等のリスクに晒されている(上記規範②)。これらの事実は、当該登録商標が存続することで被上告人の法的地位が直接的に制約を受けていることを示すものであり、不使用取消審判を請求すべき具体的な法律上の利益を基礎づけるものである。
結論
被上告人には、本件各商標につき不使用取消審判を請求する「法律上の利益」があるため、請求人適格が認められる。
実務上の射程
本判決は旧法の事案であるが、現行法における不使用取消審判(50条1項)の請求人適格を判断する際にも、実務上の指針として機能する。特許庁の審判実務において、拒絶理由通知の受領やライセンス交渉、侵害警告等の事実がある場合に「法律上の利益」を肯定する重要な根拠となる。答案上は、利害関係を肯定するための具体的要素として「拒絶の蓋然性」や「侵害主張の有無」を引用すべきである。
事件番号: 平成15(行ヒ)353 / 裁判年月日: 平成17年7月11日 / 結論: 棄却
商標法(平成3年法律第65号による改正前のもの)4条1項15号違反を理由とする商標登録の無効の審判請求が商標法(平成8年法律第68号による改正前のもの)47条所定の除斥期間を遵守したものであるというためには,除斥期間内に提出された審判請求書に,請求の理由として,当該商標登録が上記15号の規定に違反するものである旨の主張…