土地区画整理事業計画の決定は、その公告がされた段階においても、抗告訴訟の対象となる行政処分に当たらない。 (補足意見がある。)
土地区画整理事業計画の決定と抗告訴訟の対象
土地区画整理法66条,土地区画整理法6条,行政事件訴訟法3条1項
判旨
土地区画整理事業計画の決定は、その段階では事件としての成熟性を欠き、実効的な救済の必要性も認められないため、抗告訴訟の対象となる行政処分には当たらない。
問題の所在(論点)
行政事件訴訟法3条2項にいう「行政処分」の意義。特に、土地区画整理事業計画の決定が、国民の権利利益に直接的な法的影響を及ぼす「処分」として抗告訴訟の対象になるか否か(成熟性の有無)。
規範
行政処分とは、行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為を指すが、行政計画については、理論上の「事件の成熟性」の有無、および立法政策上の救済手続の有無や実効的な救済の必要性を総合して判断すべきである。具体的には、計画段階で訴えを認めなければ救済の実効性を欠くなどの特段の事情がない限り、後続の個別処分(換地処分等)の段階での救済で足りるものと解する。
重要事実
上告人らは、実施された土地区画整理事業の事業計画決定の取り消しを求めて抗告訴訟を提起した。原審は、先行する大法廷判決(昭和41年2月23日)の枠組みに従い、事業計画の決定ないし公告の段階では訴訟事件としての成熟性を欠くこと、またその段階で訴えを認める必要もないことを理由に、本件訴えを不適法として却下した。
事件番号: 昭和37(オ)122 / 裁判年月日: 昭和41年2月23日 / 結論: 棄却
土地区画整理事業計画の決定は、その公告がなされた段階においても、抗告訴訟の対象とならないものと解すべきである。
あてはめ
土地区画整理事業計画は事業の青写真としての性格を有するにとどまり、この段階で直ちに個人の権利義務を確定するものではない。また、土地区画整理法上、計画段階での独自の救済手続は設けられておらず、後の換地処分等の段階で争う余地が残されている。したがって、計画段階で直ちに争訟を認めるべき実効的な救済の必要性は認められず、事件としての成熟性を欠いているといえる。
結論
本件事業計画の決定は行政処分に該当しないため、これに対する取消訴訟は不適法であり、却下を免れない。
実務上の射程
本判決は行政計画の処分性を否定する典型例(昭和41年大法廷判決の踏襲)であるが、その後の浜松市土地区画整理事業判決(平成20年9月10日)により変更された点に注意が必要である。現在の司法試験答案では、本判決の論理(成熟性・必要性)を理解した上で、判例変更後の「直接の法的効果」を肯定する規範を用いるべきである。
事件番号: 昭和46(行ツ)63 / 裁判年月日: 昭和50年11月28日 / 結論: 棄却
住宅地区改良事業の事業計画の認可は、抗告訴訟の対象となる行政庁の処分にあたらない。
事件番号: 平成17(行ヒ)397 / 裁判年月日: 平成20年9月10日 / 結論: 破棄自判
市町村の施行に係る土地区画整理事業の事業計画の決定は,抗告訴訟の対象となる行政処分に当たる。 (補足意見及び意見がある。)
事件番号: 昭和39(行ツ)104 / 裁判年月日: 昭和42年6月20日 / 結論: 棄却
自作農創設特別措置法第三条第一項第三号の超過面積算定の基礎となるべき小作地は、地主がその住所のある市町村の区域内において所有する小作地にのみ限られ、隣接市町村の区域内において所有する小作地はこれに含まれない。