我が国に在留する外国人は、憲法上、外国へ一時旅行する自由を保障されていない。
我が国に在留する外国人が外国へ一時旅行する自由と憲法の保障の有無
憲法22条
判旨
我が国に在留する外国人は、憲法上、外国へ一時旅行する自由を保障されているものではない。
問題の所在(論点)
我が国に在留する外国人に、憲法上、外国へ一時旅行する自由(海外渡航の自由)が保障されるか。
規範
憲法22条2項の「外国に移住する自由」には一時的な海外渡航の自由も含まれるが、権利の性質上、日本国民にのみ保障されるものであり、在留外国人に対しては憲法上の権利として保障されない。
重要事実
日本に在留する外国人が、外国へ一時旅行することを希望したが、当局によりそれが認められなかった(再入国の許可等に関連する事案と推認されるが、決定全文からは具体的な申請内容は不明)。上告人は、一時旅行の自由が憲法により保障されるべきであると主張して争った。
あてはめ
最高裁昭和32年6月19日判決及び昭和53年10月4日判決(マクリーン事件)の趣旨に照らせば、外国人の人権保障は権利の性質上日本国民のみを対象とするものを除き及ぶとされる。しかし、海外渡航の自由については、出入国の管理という国家の排他的裁量権が強く及ぶ領域であり、性質上、外国人に憲法上の権利として当然に保障されるべきものとは認められない。
事件番号: 平成6(行ツ)153 / 裁判年月日: 平成10年4月10日 / 結論: 棄却
法務大臣が、日本国に居住する大韓民国国民の法的地位及び待遇に関する日本国と大韓民国との間の協定の実施に伴う出入国管理特別法一条の規定に基づく許可を受けて本邦で永住することができる地位を有していた者に対し、外国人登録法(昭和六二年法律第一〇二号による改正前のもの)一四条一項に基づく指紋の押なつを拒否していることを理由とし…
結論
我が国に在留する外国人は、憲法上、外国へ一時旅行する自由を保障されているものではないため、上告を棄却する。
実務上の射程
外国人の人権の享有限界に関するリーディングケースの一つ。答案上は、憲法22条2項の「外国移住の自由」の検討において、日本国民には保障されるが、外国人には性質上保障が及ばない例(マクリーン事件判決の論理を補強する具体例)として引用する。
事件番号: 平成6(行ツ)152 / 裁判年月日: 平成10年4月10日 / 結論: 破棄自判
再入国不許可処分を受けた者が本邦から出国した場合には、右不許可処分の取消しを求める訴えの利益は失われる。
事件番号: 昭和50(行ツ)120 / 裁判年月日: 昭和53年10月4日 / 結論: 棄却
一 外国人は、憲法上、わが国に在留する権利ないし引き続き在留することを要求しうる権利を保障されていない。 二 出入国管理令二一条三項に基づく在留期間の更新を適当と認めるに足りる相当の理由の有無の判断は「法務大臣の裁量に任されているものであり、上陸拒否事由又は退去強制事由に準ずる事由に該当しない限り更新を不許可にすること…
事件番号: 昭和24(オ)160 / 裁判年月日: 昭和32年12月5日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】行政処分の原因となる申請に自由意思を抑圧しない程度の強迫という瑕疵があっても、処分は当然無効とはならず、出訴期間を経過した後はその取消しを求めることもできない。 第1 事案の概要:上告人らは、日本国籍回復許可の申請を行い、これに基づき国籍回復許可の行政処分を受けた。その後、上告人らは当該申請が強迫…