再入国不許可処分を受けた者が本邦から出国した場合には、右不許可処分の取消しを求める訴えの利益は失われる。
再入国不許可処分を受けた者の本邦からの出国と右不許可処分の取消しを求める訴えの利益
行政事件訴訟法9条,出入国管理及び難民認定法26条1項
判旨
再入国許可申請の不許可処分を受けた外国人が、許可を得ずに出国した場合、在留資格が消滅するため、当該処分の取消しを求める訴えの利益は失われる。
問題の所在(論点)
再入国許可申請の不許可処分を受けた外国人が、許可を得ないまま本邦から出国した場合、当該不許可処分の取消しを求める訴えの利益(行政事件訴訟法9条1項)が認められるか。
規範
行政事件訴訟法9条1項の「法律上の利益」は、処分が取り消されることで回復すべき利益があることを要する。再入国許可(入管法26条1項)は、既存の在留資格を出国後も存続させ、同一の資格で再入国することを認める性質のものである。したがって、許可を得ずに出国し在留資格が消滅した後は、不許可処分が取り消されても、既存の資格で再入国する余地がないため、訴えの利益は失われる。
重要事実
被上告人(韓国籍)は、出入国管理特別法に基づき本邦に永住していたが、再入国許可申請に対し上告人(国)から不許可処分を受けた。被上告人は、この不許可処分の取消しを求めて提訴したが、訴訟継続中に再入国の許可を得ないまま本邦から出国した。
事件番号: 平成6(行ツ)153 / 裁判年月日: 平成10年4月10日 / 結論: 棄却
法務大臣が、日本国に居住する大韓民国国民の法的地位及び待遇に関する日本国と大韓民国との間の協定の実施に伴う出入国管理特別法一条の規定に基づく許可を受けて本邦で永住することができる地位を有していた者に対し、外国人登録法(昭和六二年法律第一〇二号による改正前のもの)一四条一項に基づく指紋の押なつを拒否していることを理由とし…
あてはめ
被上告人は、昭和61年6月の不許可処分後、同年8月14日に再入国の許可を受けずに出国している。再入国許可は既存の在留資格を維持させる制度であり、許可なく出国したことで被上告人が有していた永住者の在留資格は既に消滅している。不許可処分が取り消されたとしても、消滅した旧来の在留資格のまま再入国することは不可能である。これは特別法に基づく永住者であっても同様である。
結論
被上告人は不許可処分の取消しによって回復すべき法律上の利益を失ったため、訴えは却下されるべきである(訴えの利益の喪失)。
実務上の射程
処分の効果が期間の経過等によって失われた後の訴えの利益に関する典型例である。再入国許可の法的性質が「在留資格の存続」にあることを前提に、事後的な事情変更(出国)によって処分の取消しが無意味となる論理構成は、他の在留資格関連訴訟でも準用され得る。
事件番号: 平成5(行ツ)159 / 裁判年月日: 平成8年7月12日 / 結論: 棄却
難民不認定処分を受けた者が退去強制令書の執行により本邦から出国した場合には、右処分の取消しを求める訴えめ利益は失われる。
事件番号: 平成1(行ツ)2 / 裁判年月日: 平成4年11月16日 / 結論: 棄却
我が国に在留する外国人は、憲法上、外国へ一時旅行する自由を保障されていない。
事件番号: 昭和24(オ)160 / 裁判年月日: 昭和32年12月5日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】行政処分の原因となる申請に自由意思を抑圧しない程度の強迫という瑕疵があっても、処分は当然無効とはならず、出訴期間を経過した後はその取消しを求めることもできない。 第1 事案の概要:上告人らは、日本国籍回復許可の申請を行い、これに基づき国籍回復許可の行政処分を受けた。その後、上告人らは当該申請が強迫…
事件番号: 平成17(行ヒ)395 / 裁判年月日: 平成18年10月5日 / 結論: 棄却
法務大臣が出入国管理及び難民認定法49条3項所定の裁決をするに当たり裁決書を作成しなかったことは出入国管理及び難民認定法施行規則(平成13年法務省令第76号による改正前のもの)43条に違反するものであるが,容疑者は退去強制事由があることを争っていないこと,同条は上記裁決をするに当たって経ることが予定されている在留特別許…