判旨
最高裁判所の上告棄却決定に対して判決の訂正を申し立てることは、刑事訴訟法415条1項の「判決」には当たらないため、同法417条1項に基づき認められない。
問題の所在(論点)
最高裁判所による上告棄却の「決定」に対し、刑事訴訟法415条1項および417条1項に基づく「判決の訂正」の申立てをすることができるか。
規範
刑事訴訟法415条1項は「判決の内容に誤りがあることを発見したとき」に判決の訂正を申し立てることができる旨を規定している。この「判決」には、上告棄却の「決定」は含まれず、決定に対して判決訂正の申立てを行うことは法的に認められない。
重要事実
申立人は、最高裁判所が行った上告棄却の決定に対し、「決定に対する異議申立書」という標題の書面を提出した。その実質的な内容は、当該決定に誤りがあるとして、刑事訴訟法417条1項に基づき判決の訂正を求めるものであった。
あてはめ
申立人の主張は、形式上「決定に対する異議」とされているが、その実質は上告棄却決定の訂正を求めるものである。しかし、刑事訴訟法上の判決訂正の手続きは「判決」を対象とするものであり、決定はこれに含まれない。したがって、本件上告棄却の決定に対して訂正を求める申立ては、適法な理由を欠くものといえる。
結論
本件判決訂正の申立ては理由がないため、棄却される。
実務上の射程
刑事訴訟における判決訂正申立(415条)の対象が「判決」に限定されることを確認する事例である。実務上、上告棄却の決定(414条、385条1項等)に対しては、本条による救済は受けられないため、上告趣旨の書き方や手続選択において留意が必要となる。
事件番号: 昭和28(す)246 / 裁判年月日: 昭和28年7月8日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】上告棄却の決定に対して判決訂正の申立てをすることは、刑事訴訟法417条1項の類推適用等によっても認められず、理由がないものとして棄却される。 第1 事案の概要:申立人は、最高裁判所による上告棄却の決定に対し、「決定に対する異議申立書」と題する書面を提出した。その実質的内容は、当該上告棄却決定の訂正…
事件番号: 昭和28(み)19 / 裁判年月日: 昭和28年6月11日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】判決訂正の申立ては、上告審の判決に誤りがあることを理由とするものであるが、本件においては上告棄却の判決に訂正すべき理由が認められないため、申立てを棄却すべきである。 第1 事案の概要:被告人両名に対する強盗被告事件において、最高裁判所は昭和28年5月21日に上告棄却の判決を言い渡した。これに対し、…
事件番号: 昭和28(す)310 / 裁判年月日: 昭和28年7月7日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】刑事訴訟法415条に基づく判決訂正の申立において、申立書に記載された弁護士であっても、裁判所に弁護人選任届が提出されていない場合には、正当な申立権者として認められない。 第1 事案の概要:強盗殺人被告事件について、最高裁判所が昭和28年6月16日になした上告棄却決定に対し、判決訂正の申立がなされた…
事件番号: 昭和53(す)183 / 裁判年月日: 昭和53年9月11日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】刑事訴訟法414条および386条1項3号に基づき上告を棄却した最高裁判所の決定に対しては、判決の訂正の申立をすることはできない。 第1 事案の概要:被告人が最高裁判所に対し上告を提起したが、最高裁判所は刑訴法414条、386条1項3号(上告趣意書の提出遅延等)に基づき、決定をもって上告を棄却した。…
事件番号: 昭和28(す)508 / 裁判年月日: 昭和28年10月13日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】上告趣意書に記載された事由が刑訴法405条各号の事由に該当しないことが明らかな場合には、同法414条・386条1項3号を準用し、決定により上告を棄却できる。 第1 事案の概要:本件において、申立人(被告人)は最高裁判所に対し判決の訂正を申し立てた。しかし、その前提となる上告審の判断プロセスにおいて…