判旨
公職選挙法違反の犯行を対象とする処罰は、憲法上の表現の自由等の規定に違反するものではなく、適法である。
問題の所在(論点)
公職選挙法違反の犯行に対する処罰が、憲法の保障する諸権利(表現の自由等)に違反し、違憲とならないか。
規範
公職選挙法における各禁止規定及び罰則規定は、選挙の公正を確保するための合理的かつ必要な制約であり、憲法の保障する基本権を不当に侵害するものではない。
重要事実
被告人らは公職選挙法違反の罪に問われ、一審及び二審で有罪判決を受けた。これに対し、被告人及び弁護人は、本件処罰が憲法に違反する旨を主張して上告した。なお、具体的な違反行為の態様(買収、戸別訪問、文書頒布等)については、判決文からは不明である。
あてはめ
最高裁判所は、上告趣意が実質的に事実誤認を主張するものであるか、あるいは本件処罰の対象が公職選挙法違反という実効的な法規制の対象であることを無視するものであると指摘した。記録を精査しても、憲法違反を認めるべき事由や刑訴法411条の職権破棄事由は見当たらないと判断される。
結論
本件各上告を棄却する。公職選挙法に基づく処罰は合憲である。
実務上の射程
選挙の公正確保を目的とする公職選挙法の各規定は、表現の自由の制約として合理的であるとの前提に立っている。答案上では、選挙運動の自由に対する制約の合憲性を論じる際、本決定が憲法判断の枠組みを維持していることを示す基礎資料として引用し得るが、本決定自体は簡潔な棄却決定であるため、具体的な審査基準の展開には他のリーディングケース(猿払事件等)と併せて検討すべきである。
事件番号: 昭和59(あ)1394 / 裁判年月日: 昭和62年1月30日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】公職選挙法が規定する法定外文書の頒布制限、事前運動の禁止、及びこれらに伴う罰則や公民権停止規定は、表現の自由(憲法21条)や適正手続(同31条)等に違反せず合憲である。 第1 事案の概要:被告人は、公職選挙法で禁止されている事前運動期間中に法定外の文書を頒布したとして、同法142条、129条(改正…