判旨
公職選挙法142条及び146条による文書図画の配布制限は、選挙の公正を確保し、不当な費用の発生や混乱を防止する目的として合理的な範囲内のものであり、憲法21条に違反しない。
問題の所在(論点)
公職選挙法142条および146条による文書図画の配布・頒布制限が、憲法21条の保障する表現の自由を不当に侵害し違憲ではないか。
規範
表現の自由を保障する憲法21条は無制限な自由を保障するものではなく、公共の福祉による必要かつ合理的な制限に服する。特に選挙の公正を確保し、候補者間の実質的平等を維持するために設けられた法律による制限は、その目的が正当であり、手段が合理的である限り合憲と判断される。
重要事実
被告人両名が、公職選挙法142条(文書図画の頒布制限)及び146条(文書図画の配布制限等)に抵触する行為を行ったとして起訴された事案である。被告人らは、これらの規定が政治的表現の自由を侵害し憲法21条に違反すると主張して上告した。
あてはめ
判旨は詳細な理由を説示せず、先行する大法廷判決(昭和30年4月6日判決)を引用するに留まる。当該判例の趣旨に照らせば、選挙の公正を害するおそれのある文書の無制限な配布を禁ずることは、自由選挙の適正を確保するための合理的制限として是認される。本件においても、被告人の行為は当該制限に抵触するものであり、憲法違反の主張は認められないと判断された。
結論
公職選挙法142条、146条は憲法21条に違反しないため、被告人の上告を棄却する。
実務上の射程
選挙運動の自由に対する制限の合憲性を検討する際、公職選挙法の各規定を公共の福祉に基づく合理的制限として肯定する基本判例である。答案上では、二重の基準論等を踏まえつつも、選挙の公正確保という公益目的による制限の合憲性を肯定する際の根拠として機能する。
事件番号: 昭和28(あ)3814 / 裁判年月日: 昭和30年6月17日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】公職選挙法146条および243条5号による文書図画の配布制限は、憲法19条および21条に違反せず合憲である。 第1 事案の概要:被告人が公職選挙法146条に抵触する文書図画を配布した行為に対し、同法243条5号に基づき処罰された事案において、被告人が当該規定は思想・良心の自由および表現の自由を侵害…