判旨
公職選挙法146条の合憲性を肯定するとともに、検察官の起訴に不当な目的がある等の特別な事情がない限り、公訴提起は適法である。また、捜査において強制や違法な妨害がない限り、聞込捜査等の任意捜査は適法である。
問題の所在(論点)
1.公職選挙法146条の規定は憲法21条に違反するか。2.不当な政治的意図に基づく公訴提起(公訴権の濫用)は認められるか。3.私服警察官による監視や聞込捜査の適法性。
規範
公職選挙法146条による文書図画の配布制限は憲法21条に違反しない。また、検察官の公訴提起は、選挙運動を不当に弾圧するなどの政治的な意図が認められない限り、適法に行われたものと解される。さらに、任意捜査としての聞込捜査等は、被疑者や周囲に威圧を加えたり、活動を妨げたりするような強制または違法な態様がない限り、適法である。
重要事実
被告人両名が公職選挙法違反(文書図画の配布制限違反等)で起訴された事案において、被告人側は、①公選法146条は憲法21条に違反すること、②本件起訴は選挙運動を弾圧する意図でなされた政治的起訴であり無効であること、③私服警察官による演説会での監視や聞込捜査に違法があること、を主張して上告した。
あてはめ
1.判例の趣旨に照らし、公選法146条は合憲である。2.本件記録に照らすと、本件起訴が選挙運動を弾圧する意図の下になされた政治的起訴であるとの証拠は認められない。3.私服警察官が演説会や聴衆に威圧を加え、その他これを妨げた形跡は認められず、聞込捜査においても強制その他違法な点は認められない。したがって、捜査から起訴に至る手続に違憲・違法はない。
結論
本件各上告を棄却する。公職選挙法146条は合憲であり、本件における公訴提起および捜査手続にも違法な点は認められない。
実務上の射程
公選法146条(文書図画の配布制限)の合憲性を再確認するものである。答案上は、公訴権濫用論の極めて初期の判断例として、不当な目的(弾圧意図等)の有無が公訴の適法性に影響し得ることを示唆する文脈で参照できる。また、任意捜査の限界について、実力行使や威圧の欠如を重視する判断枠組みとして活用できる。
事件番号: 昭和28(あ)3814 / 裁判年月日: 昭和30年6月17日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】公職選挙法146条および243条5号による文書図画の配布制限は、憲法19条および21条に違反せず合憲である。 第1 事案の概要:被告人が公職選挙法146条に抵触する文書図画を配布した行為に対し、同法243条5号に基づき処罰された事案において、被告人が当該規定は思想・良心の自由および表現の自由を侵害…