一 公職選挙法一四二条、一二九条(昭和五七年法律第八一号による改正前のもの)の合憲性(憲法全文、一五条、二一条) 二 公職選挙法一四二条、二四三条三号(昭和五七年法律第八一号による改正前のもの)の合憲性(憲法三一条) 三 公職選挙法二五二条の合憲性(憲法一四条、三一条、四四条)
憲法前文,憲法14条,憲法15条,憲法21条,憲法31条,憲法44条,公選法129条,公選法142条,公選法243条,公選法3条,公選法252条
判旨
公職選挙法が規定する法定外文書の頒布制限、事前運動の禁止、及びこれらに伴う罰則や公民権停止規定は、表現の自由(憲法21条)や適正手続(同31条)等に違反せず合憲である。
問題の所在(論点)
1. 公職選挙法142条(文書頒布制限)及び129条(事前運動禁止)が、表現の自由(憲法21条)等に違反するか。 2. 法定外文書頒布罪の罰則(同法243条)が憲法31条に違反するか。 3. 公民権停止規定(同法252条)が憲法14条、44条等に違反するか。
規範
公職選挙法による選挙運動の制限(文書等頒布制限・事前運動禁止)及びその罰則規定は、選挙の公正を確保するという正当な目的のための必要かつ合理的な制限であり、憲法21条、15条、31条に違反しない。また、違反者に対する公民権停止規定も、選挙の清浄・公正を維持するために合理的な根拠があり、憲法14条、44条等に違反しない。
重要事実
被告人は、公職選挙法で禁止されている事前運動期間中に法定外の文書を頒布したとして、同法142条、129条(改正前)違反等に問われた。これに対し、被告人側は、文書頒布制限、事前運動禁止、これに対する罰則、及び公民権停止規定が、憲法前文、14条、15条、21条、31条、44条に違反し違憲であると主張して上告した。
あてはめ
最高裁は先行判例を引用し、以下の通り判断した。まず、選挙運動の制限は選挙の公正を期する目的から必要であり、21条に違反しない。次に、当該制限に罰則を付すことも、適正な手続を定める31条に反するものではない。さらに、選挙犯罪者に対して一定期間の参政権を制限する公民権停止規定についても、選挙の公正・清浄を確保する目的から合理的な差別であり、平等の原則(14条)や資格の平等(44条)に反しない。本件各規定の適用は、これら判例の趣旨に照らし、いずれも憲法に適合する。
結論
本件各規定は憲法に違反しない。したがって、被告人による本件上告は理由がなく、棄却されるべきである。
実務上の射程
選挙運動の自由に対する制約の合憲性を論じる際のリーディングケース群を再確認した判決。答案上では、戸別訪問禁止事案等と同様に、選挙の公正確保という目的が公共の福祉に資することを理由として、具体的手段の合理性を肯定する文脈で使用する。
事件番号: 昭和59(あ)382 / 裁判年月日: 昭和61年12月11日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】公職選挙法が定める戸別訪問の禁止、文書頒布の規制、事前運動の禁止、および公民権の停止等の規定は、憲法14条、15条、21条、31条、44条に違反しない。 第1 事案の概要:被告人が、公職選挙法で禁じられている戸別訪問、文書頒布の規制違反、および事前運動等の罪に問われた事案である。被告人および弁護人…