判旨
親告罪において、被害者が未成年者である場合、その法定代理人は独立して告訴権を行使することができる(刑事訴訟法231条1項)。本件では被害者の父による告訴が有効であり、訴訟条件を欠くものではない。
問題の所在(論点)
親告罪における被害者が未成年者である場合に、その父が行った告訴が、刑事訴訟法上の適法な告訴として認められ、訴訟条件を充足するか。
規範
刑事訴訟法231条1項によれば、被害者の法定代理人は、独立して告訴をすることができる。この法定代理人の告訴権は被害者の意思に左右されない固有の権利であり、被害者が未成年者である場合には、その父母等の法定代理人が適法に告訴を行うことが認められる。
重要事実
被告人が親告罪に該当する罪を犯したとされる事案において、昭和27年2月20日、被害者Aの父であるBが被告人を告訴した。告訴当時、被害者Aは未成年であった。弁護人は、本件告訴が訴訟条件を欠く無効なものであると主張して上告した。
あてはめ
記録によれば、被害者Aの父Bが告訴した当時、被害者Aは未成年であったことが明らかである。刑事訴訟法231条1項は法定代理人の独立告訴権を認めており、未成年者の父はこれに該当する。したがって、被害者本人の意思にかかわらず、父Bは適法に告訴を提起する権限を有していたといえる。
結論
被害者が未成年である以上、その父による告訴は適法であり、訴訟条件に欠けるところはないため、上告は棄却される。
実務上の射程
法定代理人の告訴権(231条1項)が、被害者の意思に拘束されない固有権であることを前提とした判断である。答案上は、被害者が幼少で告訴能力がない場合や、本人が告訴を躊躇している場合でも、法定代理人独自の判断で適法に告訴できる根拠として引用する。
事件番号: 昭和26(れ)1732 / 裁判年月日: 昭和27年7月11日 / 結論: 破棄自判
数人が婦女に対し共同して暴行を加え姦淫した事実が認められるが、強姦罪について告訴が適法に取り消された場合、同罪の手段たる共同暴行を「暴力行為等処罰に関する法律」第一条違反として処罰することは違法である。
事件番号: 昭和28(あ)283 / 裁判年月日: 昭和28年5月29日 / 結論: 棄却
一 強姦の被害者の法定代理人の告訴権は固有権である。 二 被害者が犯人を知つた時から六ケ月を経過していても、法定代理人がこれを知つた時から六ケ月の期間内にした親告罪の告訴は有効である。
事件番号: 昭和27(あ)4085 / 裁判年月日: 昭和29年1月12日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】被告人の自白が司法警察員の脅迫等の強制に基づくものと認められない場合には、憲法38条2項に反せず、証拠能力が認められる。 第1 事案の概要:被告人A及びBが、司法警察員による脅迫等によって自白を強要されたと主張し、憲法38条2項違反を理由に上告した事案。被告人側は、警察における共犯者の自白も任意に…
事件番号: 昭和27(あ)4864 / 裁判年月日: 昭和29年6月8日 / 結論: 棄却
昭和二六年四月当時佐賀県a町大字b字c駐在所勤務の巡査に対し同駐在所附近で「売国奴の番犬、A巡査をたたき出せ」と題し、「……たしかに、Aは売国奴の番犬だ!我々愛国者人民は近き将来に必ず勝利するのだ、かかる売国奴とその手先どもの行為は、来るべきあの有名な人民裁判によつて明らかにサバカレ処断されるであろう……」と書いた謄写…