判旨
刑事訴訟規則の改正により、公判調書の記載事項が簡略化されたため、従前の基準に照らして記載が不十分であるとしても、直ちに公判手続の違法を構成するものではない。
問題の所在(論点)
刑事訴訟規則の改正による公判調書の記載事項の簡略化に伴い、従来の基準と比較して記載が簡略化された公判調書に基づく公判手続に違法があるといえるか。
規範
刑事訴訟規則(昭和26年11月20日最高裁判所規則第15号による改正後の同規則44条等)の規定に基づき、公判調書の記載事項は簡略化されている。したがって、公判手続の適法性は、改正後の規則が定める記載要件を充足しているか否かによって判断される。
重要事実
被告人が第一審の公判手続において、公判調書の記載内容が不十分であるとして刑事訴訟法違反を主張し、上告した事案である。弁護人は、公判調書の記載事項に関する手続上の違法を理由に刑訴法405条の上告理由に当たると主張した。
あてはめ
本件第一審の公判手続は、昭和27年2月1日から施行された改正刑事訴訟規則の適用下で行われている。同規則44条等により公判調書の記載事項は簡略化されており、記録に照らしても、当該規則に反するような不備は認められない。したがって、所論の事由は単なる刑訴法違反又は事実誤認の主張に過ぎず、適法な上告理由を構成しない。
結論
本件公判手続に違法はなく、上告を棄却する。
実務上の射程
公判調書の記載の程度が問題となる場面で、規則改正(簡略化)の趣旨を踏まえた適法性判断の根拠として活用できる。ただし、実務上は調書の正確性が争点となることが多いため、形式的な記載要件の充足だけでなく、実質的な適正手続の保障との整合性にも留意が必要である。
事件番号: 昭和28(あ)1374 / 裁判年月日: 昭和29年11月30日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】本判決は、公判調書の記載事項に関する最高裁判所規則の改正により、通常行われる手続の記載が省略可能となったことを前提に、当該手続の適法性を肯定した。 第1 事案の概要:被告人は、原審における公判手続において、特定の訴訟手続が欠如していた旨を主張して上告した。具体的には、公判調書に当該手続の記載がなか…