必要的弁護事件において弁護人を附することは公判開廷の要件であるが、(刑訴二八九条)公判開廷前弁護人なくして審理の併合決定をしたからとして違法ではない。
必要的弁護事件につき公判開廷前弁護人なくして審理の併合決定をすることは違法か
刑訴法289条,憲法37条3項
判旨
必要的弁護事件において、公判開廷前に弁護人が選任されていない状態で審理の併合決定を行うことは適法であり、憲法37条にも反しない。
問題の所在(論点)
必要的弁護事件において、公判開廷前に弁護人が付されていない状態で裁判所が審理の併合決定を行うことは、刑訴法289条1項または憲法37条に違反するか。
規範
刑法訴訟法289条1項の必要的弁護事件において、弁護人の出頭を公判開廷の要件とする趣旨は、公判審理における被告人の防御権を十全に保障することにある。したがって、実質的な公判審理が行われない「公判開廷前」の手続(審理の併合決定等)については、弁護人の選任や出頭がなくても直ちに違法とはならない。
重要事実
被告人は詐欺・窃盗事件で起訴されたが、第一審裁判所が弁護人の選任手続を行う前(昭和27年7月28日より前)である同年7月26日に、裁判所は審理の併合決定を行った。弁護人は、この併合決定時に弁護人が付されていなかったことや決定謄本が送達されなかったことを捉え、憲法37条(弁護人依頼権)および刑訴法の規定に違反すると主張して上告した。
あてはめ
刑訴法289条1項は「弁護人がなければ開廷することができない」と定めているが、これはあくまで公判期日における審理を指すものである。本件における審理の併合決定は、公判開廷前になされた手続である。記録によれば、決定当時の被告人に弁護人が付されていなかった事実は認められるものの、公判審理そのものが開始される前の段階における手続的決定に過ぎないため、右決定をもって弁護人依頼権を侵害したものとはいえず、同条の要件にも抵触しない。
結論
公判開廷前に弁護人なくして審理の併合決定をしたとしても違法ではなく、憲法37条にも違反しない。
実務上の射程
必要的弁護事件における「公判開廷」の意義を限定的に解釈する際の手がかりとなる。実務上、併合決定のような裁判所の訴訟指揮に関する決定は、弁護人の関与がなくても有効になされ得ることを示している。答案上は、弁護人の不出頭・不在が許容される手続の限界を論ずる際の根拠として活用できる。
事件番号: 昭和26(あ)2914 / 裁判年月日: 昭和28年2月12日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】憲法37条3項前段の弁護人依頼権は、被告人が自ら行使すべきものであり、裁判所に選任請求が可能であることの告知義務を課すものではない。また、必要的弁護事件の範囲は立法政策により決定されるものであり、直ちに憲法31条や37条から定まるものではない。 第1 事案の概要:被告人らは、原審(控訴審)において…