一 憲法第三一條、第三七條第三項はすべての被告事件を必要辯護事件としなければならないという趣旨ではなく、如何なる事件を必要辯護事件となすべきものかは專ら刑訴法に依り決すべきことである。(昭和二四年(れ)第六〇四號同二五年二月一日大法廷判決)。 二 法令の誤解に基きこれを基礎として憲法違反を主張することは法律にいう違憲の主張にあたらないこと、當裁判所の判例(昭和二三年(れ)第九三〇號同二四年六月二九日大法廷判決)の示す通りである。 三 刑訴施行法第五條は、刑訴法施行後犯罪事實が發生した事件にも適用される。
一 憲法第三一條同第三七條第三項と必要的辯護事件 二 法令の誤解に基く違憲の主張と刑訴法第四〇五條第一號 三 刑訴施行法第五條の法意
憲法31條,憲法37條3項,刑訴法279條1項,刑訴法405條1號,刑訴法289條,刑訴施行法5條
判旨
憲法31条および37条3項はすべての被告事件を必要弁護事件とする趣旨ではなく、簡易裁判所における被告人の意思に基づく弁護人抜きの審理も適法である。
問題の所在(論点)
簡易裁判所における窃盗被告事件において、被告人が弁護人を不要とする意思表示をした場合に、弁護人抜きで審理を行うことが憲法31条および37条3項に違反しないか。
規範
憲法31条(適正手続)および37条3項(弁護人依頼権)は、あらゆる刑事事件において必ず弁護人の関与を必要とする「必要弁護事件」としなければならないという趣旨ではない。どのような事件を必要弁護事件とするかは、公判手続の適正を確保する観点から、専ら刑事訴訟法等の立法に委ねられている。
重要事実
窃盗罪に問われた被告人の第一審が簡易裁判所で行われた。被告人は第一審公判前、あらかじめ書面をもって弁護人を必要としない旨の申出を行っていた。これを受け、簡易裁判所は弁護人が立ち会わない状態で開廷し、審理を行って有罪判決を言い渡した。控訴審もこの第一審の手続を適法として維持したため、被告人側が憲法違反を理由に上告した。
あてはめ
本件は簡易裁判所の管轄に属する窃盗被告事件であり、刑訴施行法5条(当時)の適用がある。被告人は自ら書面で弁護人を必要としない旨の明確な意思表示を行っている。このような状況下で弁護人を付さずに審理を行うことは、刑事訴訟法上の手続規程に則ったものであり、憲法が保障する防御権の本質を損なうものではない。したがって、第一審の訴訟手続に憲法違反の瑕疵は認められない。
結論
簡易裁判所が弁護人抜きで審理を行ったことは適法であり、これを維持した原判決に憲法違反はないため、上告を棄却する。
実務上の射程
刑事訴訟法289条1項が定める必要弁護事件(死刑又は無期若しくは長期3年を超える懲役若しくは禁錮にあたる事件)以外の事件において、被告人の意思に基づく弁護人抜きの審理が憲法上許容されることを示す。実務上は、必要的弁護事件の範囲の確定が立法政策に委ねられていることを論証する際に引用される。
事件番号: 昭和24(れ)361 / 裁判年月日: 昭和25年2月1日 / 結論: 棄却
一 本件公判請求書が引用した司法警察官意見書に契印のないことは所論のとおりであるけれどもそれがために、右書類は、所論のように直ちに無効となるものと解すべきではない。本件記録添付の右司法警察官意見書についてみるに、その筆跡墨色及び記載内容の續き具合からして、右意見書は全部司法警察官代理巡査部長Aが作成したものであることを…