判旨
被告人が証拠とすることに同意した被害始末書は、被告人の自白を補強する証拠となり得る。
問題の所在(論点)
被告人が証拠とすることに同意した被害始末書は、刑事訴訟法319条2項にいう「自白を補強する証拠」に当たり得るか。
規範
刑法上の自白の補強証拠(刑事訴訟法319条2項)は、それが独立した証拠能力を有し、かつ自白の真実性を担保するに足りるものであれば足りる。証拠同意(同法326条1項)がなされた書面についても、適法な証拠能力が付与される以上、自白の補強証拠として用いることが妨げられない。
重要事実
被告人が犯行を認める自白をしていた事案において、第一審の公判手続き中に、被害者が作成した被害始末書が証拠として提出された。被告人はこの被害始末書を証拠とすることについて同意を与えた。その後、当該始末書が自白の補強証拠として機能するかが争点となった。
あてはめ
本件において、被害始末書は第一審において被告人が証拠とすることに同意している。この同意により、伝聞例外等の要件を問わず、当該書面には適法な証拠能力が備わっている。したがって、自白とは独立した証拠として、自白の真実性を裏付ける資料として用いることが可能である。よって、当該被害始末書は被告人の自白を補強しうるものと認められる。
結論
被告人が同意した被害始末書は、被告人の自白を補強しうる証拠となる。
実務上の射程
本判決は、証拠同意がある場合の補強証拠の適格性を認めたものである。答案上は、補強証拠の要件として「独立した証拠能力」が必要であることを示した上で、326条の同意によってその要件が充足されることを説明する際に活用できる。ただし、現在の実務・通説では、補強証拠は単に「自白と独立していること」だけでなく「実質的な証明力」も検討される点に留意が必要である。
事件番号: 昭和27(あ)5448 / 裁判年月日: 昭和28年3月28日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】自白の補強証拠は、自白の真実性を保障するに足りるものであれば足りる。共犯者の供述(始末書等)であっても、被告人の自白と相まって犯罪事実を認定するに足りる実質的証明力を有するならば、補強証拠となり得る。 第1 事案の概要:被告人が窃盗罪に問われた事案において、第一審判決は被告人による自白を証拠として…