判旨
訴訟当事者の同意がある証拠書類については、伝聞法則等の証拠能力に関する制限に関わらず、裁判所の証拠調べの対象とすることができる。
問題の所在(論点)
訴訟当事者が証拠とすることに同意した書類について、伝聞法則等の証拠能力の制限を理由にその採用を争うことができるか。
規範
刑事訴訟法326条1項に基づき、検察官及び被告人が証拠とすることに同意した書面又は供述は、裁判所が真実性を相当と認めるときに限り、証拠とすることができる。当事者の同意がある場合には、伝聞禁止の原則(320条1項)の例外として証拠能力が認められる。
重要事実
上告人は、原審において提出された証拠書類に関し、証拠能力の欠如や判例違反を主張して上告した。しかし、当該書類については、訴訟手続において検察官及び被告人の双方が証拠とすることに同意していた事案である。
あてはめ
本件において、問題となっている書類は訴訟当事者の同意がある。刑事訴訟法上、当事者が証拠とすることに同意した場合には、その同意によって証拠能力の欠格事由が治癒されるものと解される。したがって、同意がある以上、所論の判例違反や訴訟法違反の主張は前提を欠くものであり、不適当であるといえる。
結論
当事者の同意がある書類の証拠調べに違法はなく、上告を棄却する。
実務上の射程
伝聞例外のうち「同意」による証拠能力(刑訴法326条)の基本的事態を確認したものである。実務上、不同意とした場合にのみ伝聞法則の厳密な適用が問題となるため、同意の有無は証拠能力判断の最優先事項となる。
事件番号: 昭和26(あ)3202 / 裁判年月日: 昭和29年1月28日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】伝聞証拠であっても、証拠とすることに同意がある場合には、刑事訴訟法326条に基づき証拠能力が認められる。また、証言の重要部分を証拠から除外して同意した場合、その範囲において証拠として採用することは適法である。 第1 事案の概要:被告人が窃盗等の罪で起訴された事案において、検察官はB作成の「盗難顛末…