判旨
刑事訴訟法405条の上告理由において、憲法違反を主張していてもその実質が証拠の価値判断に対する攻撃(事実誤認の主張)に過ぎない場合は、適法な上告理由に当たらない。
問題の所在(論点)
憲法違反を名目としつつ、実質的に証拠の評価や事実認定の誤りを争う主張が、刑事訴訟法405条の上告理由として認められるか。
規範
上告趣意において憲法違反を主張する場合であっても、その実質が刑事訴訟法317条、318条の規定する証拠の価値判断を攻撃し、事実誤認を主張するに帰するものであるときは、同法405条に定める上告理由には該当しない。
重要事実
被告人の弁護人が、原判決には採証上の実験則違背に基づく事実誤認がある旨、および憲法違反がある旨を主張して上告した事案。憲法違反の主張内容は、裁判所による証拠の価値判断の誤りを実質的な理由とするものであった。
あてはめ
弁護人が主張する憲法違反は、その実質において刑事訴訟法317条および318条に基づく証拠の価値判断を攻撃するものであり、単なる事実誤認の主張に帰する。このような主張は、判例違反や憲法違反等の限定的な事由を求める同法405条の上告理由のいずれにも該当しない。また、職権による破棄を定めた同法411条を適用すべき事由も認められない。
結論
本件上告は、適法な上告理由を欠くため棄却される。
実務上の射程
司法試験の答案作成においては、上告審の構造(事後審・法律審)を論じる際、単なる事実誤認が上告理由にならないことの確認として引用し得る。形式的な主張名目ではなく、主張の「実質」に基づいて上告理由の適否を判断する実務上の運用を示す一例である。
事件番号: 昭和25(あ)915 / 裁判年月日: 昭和26年1月11日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】事実認定および量刑に関する判断は原審の裁量権の範囲内に属する事項であり、これに対する不服申し立ては刑事訴訟法405条所定の上告理由に当たらない。 第1 事案の概要:上告人は、原審(控訴審)が行った事実認定および刑の量定を不当として非難し、上告を申し立てた。 第2 問題の所在(論点):原審の裁量権内…