判旨
供述記載が強制その他により任意になされたものでないことを認めるべき資料がない場合には、当該供述調書の証拠能力が認められる。
問題の所在(論点)
刑事訴訟法における自白の任意性法則に関連し、供述調書の任意性が否定されるべき事由(強制等)の有無をいかに判断すべきか、また証拠の評価に関する上告理由の正当性が問題となった。
規範
供述調書の証拠能力が認められるためには、当該供述が「強制、拷問又は脅迫」等によらず、任意になされたものであることを要する。裁判所は、記録上の資料に基づき任意性に疑いがあるか否かを判断し、任意性に疑いがないと判断される場合には証拠として採用することができる。
重要事実
被告人が作成した訊問調書について、弁護人が「強制その他により任意になされたものでない」と主張して上告した事案。判決文からは具体的な取調べの状況や強制の内容については不明であるが、一審・二審で証拠として採用され、有罪判決の基礎とされていた。
あてはめ
本件において、所論の訊問調書の供述記載が強制その他により任意になされたものでないことを認めるべき資料は存在しない。また、弁護側の主張は結局のところ、原審が採用しなかった証拠に基づき、原審の裁量に属する証拠判断(事実認定)を非難するものであり、適法な上告理由には当たらない。原判決が挙げた証拠によれば、原判示の事実認定を肯定することが可能である。
結論
本件訊問調書の任意性を否定する資料はなく、原審の証拠評価に不当な点はないため、上告は棄却される。
実務上の射程
自白の任意性に関する初期の判例であり、任意性を疑わせる具体的な資料がない限り、事実審の証拠選択を尊重する姿勢を示している。答案上は、任意性法則(憲法38条2項、刑訴法319条1項)のあてはめにおいて、強制等の事実を裏付ける客観的資料の有無を検討する際の基礎として用いる。
事件番号: 昭和27(あ)2449 / 裁判年月日: 昭和28年11月10日 / 結論: 棄却
原判決の是認した第一審判決は、起訴状に記載されている公訴事実中の動機の一部を敷衍して判示したものであることが判文上明らかであり、かかる場合には訴因変更の手続を経る必要はないものと解すべきである。