判旨
共同被告人の一人の判決に審理不尽等の破棄理由がある場合であっても、他の被告人との間にその破棄理由が共通しない限り、当然には判決を破棄し差戻す必要はない。
問題の所在(論点)
共同被告人の一人について審理不尽(審理の更新欠如)等の破棄事由がある場合、その効力は他の共同被告人にも当然に及ぶか(共同被告人への破棄の波及効果の範囲)。
規範
旧刑事訴訟法451条(現行刑事訴訟法403条に相当)に基づく破棄の及ぶ範囲について、共同被告人の一部に審理の更新をしない等の手続上の違法がある場合でも、その違法が他の被告人に対する判決の基礎に影響を及ぼさないときは、当該他の被告人に対する判決までを破棄すべきものとは解されない。
重要事実
被告人らは、Cと原審および当審において共同被告人の関係にあった。Cについては、第二審判決において公判審理の更新をしないという手続上の違法があるとの理由で判決が破棄された。これに対し、被告人らについても、共同被告人Cに生じた破棄事由に基づき、旧刑訴法451条を適用して原判決を破棄し差戻すべきかが争われた。
あてはめ
本件において、共同被告人Cに対する判決は審理の更新をしない違法があるとして破棄されたが、多数意見によれば、その違法は他の被告人らの判決を左右する性質のものではない。少数意見は、共同被告人の関係にある以上、一人の判決が破棄された以上は他の被告人についても原判決を破棄して差し戻すべきであるとしたが、法廷の多数意見はこれを採用せず、上告を棄却した。
結論
被告人らの上告は棄却され、共同被告人Cの判決破棄が直ちに被告人らへの破棄事由にはならないと判断された。
実務上の射程
事件番号: 昭和27(れ)57 / 裁判年月日: 昭和27年12月26日 / 結論: 破棄差戻
【結論(判旨の要点)】裁判官の更迭があったにもかかわらず公判手続の更新を行わずに審理を継続したことは、訴訟手続の法令違反にあたり、判決の破棄事由となる。 第1 事案の概要:第一審(あるいは前審)の第12回公判期日に列席した裁判官は裁判長A、裁判官B、裁判官Cであった。しかし、その後の第3回公判期日(記録上の表記順序は不…
共犯者の判決が破棄された場合に他の共犯者の判決を道連れ的に破棄する「破棄の波及(現行法403条)」は、破棄の理由が当該被告人のためにも共通する場合に限定される。本判決は、手続的な違法が個別的である場合には波及しないことを示唆しており、答案上は波及の要件である『共通の理由』の有無を論じる際の論拠となる。
事件番号: 昭和42(あ)348 / 裁判年月日: 昭和43年2月27日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】裁判が迅速を欠き憲法37条1項の趣旨に反する結果となったとしても、当然には判決破棄の理由となるものではない。 第1 事案の概要:被告人Bに対し、昭和32年4月から昭和35年5月までの間に多数回にわたって公訴が提起された。第一審判決は昭和37年1月、第二審判決は昭和41年11月に宣告された。これに対…
事件番号: 昭和25(あ)2713 / 裁判年月日: 昭和28年3月27日 / 結論: 棄却
原判決において被告人とともに共同正犯の一人と認定されている者にかかる恐喝被告事件につき無罪判決が確定したとしても、その一事をもつては、同一事実に関し被告人に対する第一審の有罪判決を維持した原判決につき、刑訴第四一一条を適用すべき事由があるとはいえない。
事件番号: 昭和41(あ)1986 / 裁判年月日: 昭和41年12月23日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】刑事裁判において、起訴事実以外の余罪を実質的に処罰する趣旨で重く量刑することは許されないが、量刑の判断に際し、被告人の性格や犯罪後の状況等の一情状として余罪を考慮することは許される。 第1 事案の概要:被告人が起訴事実について有罪判決を受けた後、控訴審判決において、被告人が原判決後に前後3回にわた…