判旨
控訴審における有罪判決の証拠説明は、証拠の標目を示すことで足り、詳細な証拠の説示を要しない。旧法事件についても、特例規則により現行法と同様の簡略化された証拠説明が許容される。
問題の所在(論点)
旧刑事訴訟法が適用される事件の控訴審において、有罪判決の証拠説明を単に証拠の標目のみで行うことは、訴訟法上の不備として違法となるか。
規範
控訴審において有罪判決を言い渡す際の証拠説明は、単に証拠の標目を示せば足りる(「旧刑事訴訟法事件の控訴審及び上告審における審判の特例に関する規則」8条参照)。
重要事実
被告人A及びBが、犯罪事実を肯定した原判決に対し、証拠説明の不備(訴訟法違反)及び事実誤認を理由として上告したもの。本件は旧刑事訴訟法の適用を受ける事件であったが、控訴審判決における証拠の示し方の適法性が争点となった。
あてはめ
昭和26年1月4日施行の「特例に関する規則」8条によれば、旧法事件であっても控訴審における有罪判決の証拠説明は証拠の標目を示せば足りると規定されている。本件原判決はこの規定に従い証拠の標目を示しており、所定の形式を満たしている。また、記録上の諸証拠を検討しても犯罪事実の認定を左右するような誤りは認められない。
結論
原判決に訴訟法違反や事実誤認の違法は認められず、上告を棄却する。
実務上の射程
刑事訴訟法335条1項が求める「証拠の標目」の程度に関し、控訴審においては詳細な挙示を要しないとする実務上の運用を肯定する。答案作成上は、判決書の理由具備の程度を論じる際、控訴審の特則的な運用の根拠として参照し得る。
事件番号: 昭和25(あ)290 / 裁判年月日: 昭和25年12月8日 / 結論: 棄却
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一 公判廷において證據調をした書類を公判調書に記載するには如何なる書類につき證據調がなされたかを明確にすれば足り、必ずしもその書類の一々に付き個別具體的に掲記する必要のないことは、しばしば當裁判所の判例(例へば昭和二二年(れ)第二七七號同二三年四月八日第一小法廷判決)に示されている通りである。 二 しかし憲法第三七條第…
事件番号: 昭和24(れ)1072 / 裁判年月日: 昭和24年7月12日 / 結論: 棄却
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事件番号: 昭和26(れ)490 / 裁判年月日: 昭和26年6月29日 / 結論: 棄却
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