判旨
併合罪の関係にある複数の公訴事実のうち、一部の罪について原判決後に大赦があった場合、上告裁判所は職権で原判決を破棄し、当該部分について免訴を言い渡すべきである。
問題の所在(論点)
併合罪として一括して処罰された罪の一部について、原判決後に大赦があった場合、上告裁判所はどのような措置を講ずるべきか。
規範
被告人に対し併合罪として処断された公訴事実のうち、一部の罪について原判決後に大赦令(昭和27年政令第117号等)による大赦があった場合には、刑事訴訟法411条5号に基づき、職権で原判決を破棄しなければならない。その上で、大赦の対象となった罪については免訴を言い渡し、残余の罪については改めて刑を量定すべきである。
重要事実
被告人両名は、臨時物資需給調整法違反、物価統制令違反、および贈賄の事実により、第一審および控訴審において併合罪として処断された。被告人らが上告したところ、控訴審判決(原判決)の後に、臨時物資需給調整法違反および物価統制令違反の事実について、政令に基づく大赦が実施された。上告趣意自体は適法な上告理由に当たらないものであったが、大赦の事実は判決後の刑の廃止等と同様の事由として職権調査の対象となった。
あてはめ
本件公訴事実のうち、臨時物資需給調整法違反および物価統制令違反の点は、原判決後に発せられた大赦令1条87号、88号により大赦の対象となった。原判決はこれらの罪と贈賄罪を併合罪として一つの刑を科している。したがって、刑訴施行法、旧刑訴法、および現行刑訴法411条5号(判決後の刑の廃止等)の趣旨に照らし、原判決のうち被告人両名に関する部分は破棄を免れない。大赦のあった罪については、刑訴法363条3号(旧法)に基づき免訴を言い渡すべきであり、大赦の対象外である贈賄罪については、改めて法令を適用して刑を言い渡すのが相当である。
結論
原判決を破棄する。大赦のあった罪については免訴とし、贈賄の罪については各懲役6月に処する。
事件番号: 昭和28(あ)2146 / 裁判年月日: 昭和29年5月14日 / 結論: その他
【結論(判旨の要点)】大赦がなされた事実は、刑訴法411条5号に基づき職権で原判決を破棄すべき理由となり、対象事実については免訴(同法337条3号)を言い渡すべきである。 第1 事案の概要:被告人は、物価統制令違反および臨時物資需給調整法違反の罪に問われ、第一審で併合罪として処断された。原判決(二審)の後、昭和27年政…
実務上の射程
併合罪の一部に免訴事由(大赦、刑の廃止、特赦等)が生じた場合の処理を示す。実務上、併合罪として一個の刑が宣告されている場合、一部の破棄であっても主文が不可分となるため、全体を破棄した上で免訴部分と有罪部分を切り分けて判示する必要がある。
事件番号: 昭和27(あ)1009 / 裁判年月日: 昭和28年9月15日 / 結論: その他
【結論(判旨の要点)】併合罪の関係にある数罪の一部について大赦があった場合、裁判所は刑法上の処断刑を再構成するため、原判決を破棄した上で、大赦に係る罪について免訴を言い渡し、残余の罪について改めて刑を言い渡すべきである。 第1 事案の概要:被告人は、ゴム長靴の割当公文書なき譲渡取引の幇助(臨時物資需給調整法違反幇助)お…
事件番号: 昭和28(れ)15 / 裁判年月日: 昭和28年10月20日 / 結論: その他
【結論(判旨の要点)】判決後の大赦は免訴事由に該当し、また、犯罪後の法律の変更により刑が軽くなった場合には、刑法6条により軽い方の刑を適用すべきである。 第1 事案の概要:被告人は物価統制令違反、臨時物資需給調整法違反、および贈賄の罪に問われ、下級審で有罪判決を受けた。その後、上告審の継続中に昭和27年政令117号によ…
事件番号: 昭和26(あ)4946 / 裁判年月日: 昭和27年11月13日 / 結論: その他
【結論(判旨の要点)】裁判所が併合罪として認定した事実の一部が大赦(昭和27年政令117号)の対象となった場合、裁判所は刑事訴訟法411条5号に基づき職権で原判決を破棄し、当該部分について免訴を言い渡さなければならない。 第1 事案の概要:被告人は、機械油やマシン油を配給割当公文書と引き換えることなく売買した点(臨時物…
事件番号: 昭和27(あ)2473 / 裁判年月日: 昭和27年11月14日 / 結論: その他
【結論(判旨の要点)】大赦令の施行により免訴事由が生じた場合、最高裁判所は職権で原判決を破棄し、免訴の言い渡しをすべきである。また、併合罪の一部に免訴事由があり、他の罪について有罪を維持する場合は、免訴部分を切り離して残余の罪について刑を再画定する。 第1 事案の概要:被告会社および被告人Aは、マシン油・モビール油の買…