判旨
共犯者の供述録取書について、当該共犯者が共同被告人でない場合には、刑事訴訟法上の伝聞例外の要件を充足する限りにおいて、完全な証拠能力を有する。
問題の所在(論点)
共同被告人ではない共犯者の供述録取書について、証拠能力が認められるか。刑事訴訟法321条等の伝聞規定との関係が問題となる。
規範
共犯者であっても、当該事件の公判において共同被告人の立場にない者の供述録取書については、通常の第三者の供述と同様に取り扱われ、証拠能力が認められる(刑事訴訟法321条1項各号等の伝聞例外規定の適用を前提とする)。
重要事実
被告人の刑事事件において、共犯関係にあるAおよびBの供述録取書が証拠として提出された。弁護人は、これら共犯者の供述が証拠能力を欠くと主張して上告したが、AおよびBは当該手続における共同被告人ではなかった。
あてはめ
本件において、供述者であるAおよびBは、被告人の共犯者ではあるものの、同一の手続で審理されている共同被告人ではない。当裁判所の判例(昭和24年5月18日大法廷判決)に照らせば、共同被告人でない共犯者の供述は、第三者の供述と同様に証拠能力を認め得るものである。したがって、第一審において適法に証拠調べが行われた以上、その証拠能力を否定することはできない。
結論
共同被告人でない共犯者の供述録取書は、完全な証拠能力を有する。したがって、これを選択した原審の判断に違法はない。
実務上の射程
共犯者の供述の証拠能力を論ずる際、まずは「共同被告人か否か」で枠組みを分ける必要がある。共同被告人でない場合は本判決(および引用されている最大判昭24.5.18)に基づき、通常の伝聞規定(321条1項等)に従って証拠能力を判断すれば足りる。答案上は、321条1項各号の要件検討に先立つ前提として、共犯者の証拠能力を肯定する論拠として引用する。
事件番号: 昭和27(あ)6793 / 裁判年月日: 昭和29年8月31日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】共同審理を受けていない単なる共犯者の供述は、共犯者であることのみをもって当然に独立の証拠能力を欠くものではなく、他の補強証拠とあわせて有罪の基礎とすることができる。 第1 事案の概要:被告人の刑事事件において、共犯者とされる人物Aが証言を行った。第一審判決は、この共犯者Aの証言およびその他の補強証…