判旨
裁判所が特定の者を証人として喚問しなかったとしても、そのことのみをもって憲法37条1項が保障する「公平な裁判所」による裁判を受けられなかったと解することはできない。
問題の所在(論点)
裁判所が被告人の申し出た特定の者を証人として喚問しなかった場合、憲法37条1項が保障する「公平な裁判所」で裁判を受ける権利を侵害し、上告理由(刑訴法405条)に該当するか。
規範
「公平な裁判所」とは、偏頗の疑いがない客観的構成を備えた裁判所を指す。裁判所が行う証拠決定の裁量(刑訴法298条等)に基づき、特定の者を証人として採用しない判断を下したとしても、直ちに裁判所の構成や審理が不公平なものに該当することにはならない。
重要事実
被告人および弁護人は、事実誤認、量刑不当、および特定の証人を喚問しなかったことが違憲(公平な裁判所の欠如)にあたるとして上告を申し立てた。なお、被告人が喚問を求めた具体的な証人の氏名や、喚問を必要とした具体的な背景については、本判決文からは不明である。
あてはめ
最高裁判所は、過去の判例(昭和23年7月14日大法廷判決等)を引用し、裁判所が特定の者を証人として喚問しなかったとしても、それが直ちに「公平な裁判所」でなかったとはいえないと判示。本件における証人不採用の判断は、裁判所の正当な権限行使の範囲内であり、不公平な審理をもたらすものとは評価されない。
結論
特定の証人を喚問しなかったことは、憲法37条1項違反には当たらず、本件上告は棄却される。
実務上の射程
憲法上の「公平な裁判所」の意義を問う問題や、証拠採用の自由裁量と被告人の防御権の衡量を論じる際、裁判所の裁量を肯定する根拠として引用可能である。ただし、証拠採用の拒否が著しく不当で防御権を実質的に侵害する場合は別途検討を要する。
事件番号: 昭和27(あ)2503 / 裁判年月日: 昭和27年11月28日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】憲法37条1項の「公平な裁判所」とは、偏頗や不公平のおそれのない組織・構成をもつ裁判所を意味し、被告人による証人尋問請求の却下は同条2項に反しない。 第1 事案の概要:被告人は刑事裁判において証人尋問の申請を行ったが、裁判所は当該証人尋問を必要がないものと認めて却下した。これに対し弁護人は、裁判所…