物品税法一八条一項の規定は刑罰の実体規定であつて、その当否は立法政策の問題であるのみならず、それらの規定を適用するに当つては、裁判所は、憲法及び法律に従い独自の立場において裁判するのであつて、行政機関が科刑をしたり、行政機関の科刑意見に裁判所が従わねばならぬというような点は少しもないのであるから、憲法三二条に違反するとの所論は前提を欠く。
物品税法第一八条の合憲性
物品税法18条,憲法32条
判旨
被告人が証拠とすることに同意した顛末書について、記録上不任意の供述と認めるべき証跡がない場合には、当該書面の証拠能力を認めることができる。また、刑罰の実体規定の当否は原則として立法政策の問題であり、行政機関の科刑意見に裁判所が拘束されることはない。
問題の所在(論点)
被告人が証拠同意した書面について、任意性に疑いがない場合に証拠能力が認められるか。また、実体罰則の規定や行政機関の意見が裁判所の司法権を拘束し、憲法に違反することはないか。
規範
伝聞証拠であっても、被告人側が証拠とすることに同意し(刑事訴訟法326条1項参照)、かつ、記録上の諸事情に照らして供述の任意性に疑いがないと認められる場合には、証拠能力が認められる。また、刑罰規定の適用に際して、裁判所は憲法および法律に従い独自の立場において判断を行うのであり、行政機関の意見に左右されない。
重要事実
被告人が物品税法違反に問われた事案において、第一審の公判過程で被告人側は「顛末書」を証拠とすることに同意した。その後、被告人側は上告審において、当該顛末書が不任意の供述に基づくものであることや、物品税法の規定および行政機関の科刑判断の在り方が違憲である旨を主張した。
あてはめ
本件の顛末書については、被告人側が第一審で証拠同意を与えている。記録を精査しても、当該供述が不任意になされたと認めるべき客観的な証跡は存在しない。また、物品税法の規定は刑罰の実体規定であり、その内容は立法政策に委ねられる。裁判所は独立して判断を行っており、行政機関の科刑意見に従う義務はないため、司法権の独立を侵害する事実も認められない。
結論
本件顛末書の証拠能力を認めた判断に憲法違反はなく、また物品税法の規定が裁判所の判断を不当に拘束するものでもないため、上告は棄却される。
実務上の射程
刑事訴訟法326条の同意がある場合の証拠能力の限界(任意性の要件)を確認する際に有用である。また、司法権の独立と立法政策の範囲に関する一般的な判断枠組みを示す際にも参照し得る。
事件番号: 昭和26(あ)3213 / 裁判年月日: 昭和28年3月17日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】鑑定書は、被告人の自白とは独立した証拠価値を有するものであるから、自白の真実性を担保するための補強証拠となり得る。 第1 事案の概要:被告人の自白により犯罪事実の立証が試みられた事案において、検察側が提出した鑑定書が、刑訴法319条2項にいう「補強する証拠」として認められるかどうかが争点となった。…