判旨
共謀共同正犯の成否について、事実誤認の主張は刑訴法405条の上告理由に当たらないと判示し、原判決の判断を維持した。
問題の所在(論点)
共謀共同正犯の成否をめぐる事実認定の当否、および事実誤認の主張が刑訴法405条の上告理由に該当するか。
規範
共謀共同正犯が成立するためには、二人以上の者が特定の犯罪を行うことを共謀し、その共謀に基づき、共謀者のうちのある者が実行行為に出ることが必要である(刑法60条)。
重要事実
被告人がAらと共謀した事実、およびAに作成権限がない文書を作成した事実について、第一審および控訴審で認定された。弁護人は、Aには作成権限があったこと、および共謀の事実が存在しなかったことを理由に、法令違反および事実誤認を主張して上告した。
あてはめ
弁護人の主張は、所論のAに作成権限がないとした第一審の認定を争う事実誤認の主張、または共謀の事実誤認や共謀共同正犯に関する独自の見解に基づく法令違反の主張にとどまる。これらは、最高裁判所が判断すべき刑訴法405条所定の上告理由(憲法違反、判例違反)のいずれにも該当しない。また、職権で調査しても刑訴法411条を適用して原判決を破棄すべき事由は認められない。
結論
本件上告を棄却する。原判決に共謀共同正犯の成否に関する重大な誤りはない。
実務上の射程
本決定自体は簡潔な棄却決定であるが、共謀共同正犯を認めた下級審判断を是認した初期の例として位置づけられる。答案作成上は、共謀共同正犯の成立要件(共謀、共謀に基づく実行)を充たす事実の有無を検討する際の前提となる判決の一つである。
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