判旨
強姦致死罪における強姦行為には、強姦の実行に着手したが遂げなかった場合も含まれ、その未遂行為から致死の結果が生じた場合も強姦致死罪が成立する。
問題の所在(論点)
強姦致死罪(当時の刑法181条、現在の刑法181条2項)の成立に際し、基本犯である強姦行為が既遂に達している必要があるか。強姦未遂の結果として致死が生じた場合に同罪が成立するか。
規範
刑法(昭和29年当時)の強姦致死罪における「強姦」には、強姦の既遂のみならず、その実行の着手(未遂)も含まれる。したがって、強姦の手段である暴行・脅迫によって被害者を死に至らしめた場合、姦淫の成否を問わず同罪が成立する。
重要事実
本件において、被告人は被害者に対し強姦しようとして暴行を加えたが、姦淫するに至らなかった(未遂)。しかし、その際に行われた暴行によって、被害者を死亡させるに至った。弁護側は大審院判例と相反すると主張して上告した。
あてはめ
最高裁判所は、強姦致死罪の成否について、強姦が既遂であることは必要ないとする昭和9年7月16日の大審院判例を支持した。強姦という行為の性質上、その手段たる暴行・脅迫から致死の結果が生じる危険性は既遂・未遂を問わず存在するため、未遂の場合も「強姦」の概念に包含されると解される。本件においても、強姦の着手に関連する暴行から死の結果が発生している以上、同罪の成立を妨げない。
結論
強姦致死罪が成立する。強姦が未遂であっても、その暴行・脅迫から致死の結果が生じた以上、強姦既遂の場合と同様に重罰に処される。
実務上の射程
結果的加重犯における基本犯の既遂・未遂の区別に関する射程を有する。強姦致死傷罪や強盗致死傷罪において、基本犯が未遂であっても致死傷の結果が生じれば、当該致死傷罪(結果的加重犯)の既遂が成立するという確立した法理を再確認する際に用いる。
事件番号: 昭和27(あ)2403 / 裁判年月日: 昭和28年6月4日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】強姦致傷罪(現:強制性交等致死傷罪)における傷害の結果は、姦淫行為そのものから生じた場合に限らず、その手段である暴行によって生じた場合であっても、同罪が成立する。 第1 事案の概要:被告人AおよびBは、被害者に対して姦淫を試みた。その際、姦淫行為そのものによって負傷させたのではなく、姦淫を遂行する…