判旨
強姦致傷罪(現:強制性交等致死傷罪)における傷害の結果は、姦淫行為そのものから生じた場合に限らず、その手段である暴行によって生じた場合であっても、同罪が成立する。
問題の所在(論点)
強姦致傷罪(強制性交等致死傷罪)において、死傷の結果が「姦淫(強制性交等)行為そのもの」ではなく、その手段である「暴行」によって生じた場合に、同罪が成立するか(致死傷結果の発生原因の範囲)。
規範
刑法181条(現:177条、181条2項)の強姦致傷罪(強制性交等致死傷罪)の成立には、結果である傷害が、構成要件的行為である姦淫(強制性交等)そのものから生じることは要しない。姦淫を遂行するための手段として行われた暴行によって傷害の結果が生じた場合であっても、当該暴行は強姦罪(強制性交等罪)の構成要件の一部をなすものであるから、同罪の致傷結果に含まれると解すべきである。
重要事実
被告人AおよびBは、被害者に対して姦淫を試みた。その際、姦淫行為そのものによって負傷させたのではなく、姦淫を遂行するための手段として行使した暴行によって、被害者に傷害の結果を生じさせた。被告人側は、傷害が姦淫行為自体から生じたものではないため、強姦致傷罪は成立しないと主張して上告した。
あてはめ
強姦致傷罪は、強姦という基本犯に伴う危険性が現実化した結果を重く処罰する趣旨である。本件において、傷害の結果は姦淫そのものから生じたものではないが、その手段である暴行から生じている。この手段たる暴行は、強姦罪の構成要件の一部を構成する不可分な行為である。したがって、手段的暴行によって生じた傷害であっても、強姦行為に伴う典型的かつ直接的な危険の現実化といえ、同罪の致傷結果に該当すると評価される。
結論
傷害の結果が、姦淫行為自体ではなく、その手段たる暴行行為によって生じた場合でも、強姦致傷罪(強制性交等致死傷罪)は成立する。
実務上の射程
強盗致死傷罪等、他の結果的加重犯においても「手段たる暴行」による結果発生が含まれるとする解釈の根拠となる。答案上は、致死傷の原因が実行行為そのものか手段行為かという細かな区別は不要であり、一連の行為から結果が生じれば同罪が成立すると簡潔に述べる際に活用できる。
事件番号: 昭和45(あ)851 / 裁判年月日: 昭和46年1月28日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】強姦致傷罪(現在の強制性交等致傷罪)における「傷害」は、刑法204条の傷害と同義であり、軽微な傷であっても人の健康状態を不良に変更するものであればこれに該当する。 第1 事案の概要:被告人が強姦(現:強制性交等)に際して、被害者に負わせた傷が、強姦致傷罪の「傷害」に該当するかが争われた。弁護側は、…