判旨
先行する逮捕手続に違法があったとしても、そのことのみによって直ちにその後の公訴提起や裁判手続のすべてが当然に違法となるものではない。
問題の所在(論点)
先行する逮捕手続に違法が存在する場合に、その後の公訴提起や公判手続、ひいては有罪判決までもが当然に違法・無効となるか。
規範
逮捕手続に憲法上の規定(33条、34条)に違反するような違法があったとしても、その違法が当然にその後の刑事手続(公訴提起、公判手続、判決)の効力を無効とするものではない。手続の違法は原則として当該段階に限定され、後続する手続全体の適法性を直ちに左右しない。
重要事実
被告人は賍物罪および恐喝罪で起訴され、第一審および控訴審で有罪判決を受けた。被告人側は上告審において、本件被告人に対する逮捕が憲法33条(令状主義)および34条(抑留・拘禁の理由告知等)に違反する違法なものであると主張し、刑事手続全体の違憲・違法を訴えた。
あてはめ
最高裁は、仮に本件の逮捕手続に主張されるような違法があったとしても、その一事をもってその後の手続がすべて違法となるものではないという判断を、過去の大法廷判例(昭和23年(れ)第774号等)を引用して示した。したがって、逮捕の違法を理由に公判判決を破棄しようとする弁護人の上告理由は、適法な上告理由には当たらないとした。
結論
逮捕手続に違法があっても、その後の手続すべてが違法となるわけではなく、上告を棄却する。
実務上の射程
手続違法の承継に関する古典的判例である。答案上は、違法収集証拠排除法則や公訴棄却の議論と関連させて検討する際、単なる「逮捕の違法」だけでは「公判そのものの無効」には繋がらないことを示す論拠として使用できる。ただし、現代の実務では違法な逮捕に続く証拠収集や勾留の効力についてはより厳格に判断されるため、射程の検討には注意を要する。
事件番号: 昭和27(あ)4243 / 裁判年月日: 昭和29年2月19日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】共同被告人の供述や証人の証言が証拠として存在する場合、被告人本人の自白のみによって犯罪事実を認定したことにはならず、憲法38条3項(自白の補強証拠)に違反しない。 第1 事案の概要:被告人A、B、Cらは犯罪事実を争い上告した。特に被告人Aの弁護人は、第一審が本人の自白のみによって犯罪事実を認定した…
事件番号: 昭和26(あ)2321 / 裁判年月日: 昭和28年2月24日 / 結論: 棄却
記録を調べると原判決書の記載には所論のような違法があることはこれを認めざるを得ないのであるが、ただ未だ以て刑訴四一一条を適用すべきものとは云い得ないのである。(註)「第一審が無罪とした判示第四事実について破棄自判して有罪と認めるに当り証拠説明を遺脱したもの」