判旨
追徴の言渡しをする際には、その根拠となる理由を判決に明示する必要があり、理由の説示が不十分な場合には理由不備の違法が生じる。
問題の所在(論点)
刑事裁判において追徴の言渡しをする際、判決書にその理由を記載する必要があるか。また、理由の記載が不十分な場合に理由不備の違法(刑事訴訟法335条1項参照)となるか。
規範
刑罰の一種ないしそれに準ずる性質を有する追徴を言い渡すにあたっては、被告人の防御権保障および上訴裁判所の審査を可能にする観点から、判決書においてその根拠となる理由を具体的に明示すべきである。
重要事実
第一審判決が被告人に対して追徴の言渡しをしたが、その際、追徴の根拠や算出根拠等に関する説示が不十分であった。これに対し、原判決(控訴審)は第一審判決に理由不備の違法がある旨を判示した。弁護人は、原判決が「追徴の言渡しに理由判示は不要」との趣旨で判断したと解釈して上告した。
あてはめ
最高裁は、原判決が「第一審の説示は不十分(理由不備)である」と判示したことを指摘した。これは「追徴の理由判示が不要」とする趣旨ではなく、むしろ追徴の言渡しには適切な理由の付記が必要であることを前提とするものである。したがって、適正な手続の観点から理由の説示を求めた原判決の判断に誤りはない。
結論
追徴の言渡しをするにあたり、その理由を判示する必要がある。本件では原判決が第一審の理由不備を正当に指摘しており、上告は棄却される。
実務上の射程
追徴に限らず、没収等の付随的処分についても、その要件充足性や算定根拠を判決書に具体的に記載すべきとする実務上の要請を裏付けるものである。司法試験においては、判決の理由不備(刑訴法378条4号)の論述において、主文を支える実質的根拠の提示が必要な例として活用できる。
事件番号: 昭和27(あ)2553 / 裁判年月日: 昭和28年6月25日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】上告理由に当たらない事項や、原審で主張されず判断もされていない事項を新たに上告理由として主張することは認められない。 第1 事案の概要:被告人の弁護人は、上告趣意において憲法違反を主張したが、その実質は単なる訴訟法違反であった。また、原審(控訴審)において控訴趣意として主張されず、原審が判断してい…