判旨
第一審で主張されず、資料も存在しない拷問等の事案を上告審で新たに主張して違憲を訴えることは、前提を欠くため認められない。
問題の所在(論点)
第一審で主張されず証拠資料も存在しない事実(拷問等)を前提として、上告審において憲法違反の主張をすることが許されるか。
規範
上告審において憲法違反を主張するためには、その前提となる事実が第一審等の前審において適切に主張され、かつ記録上の証拠資料によって裏付けられていることを要する。
重要事実
被告人および弁護人は、上告審において拷問等の事実があったと主張し、それを理由に憲法違反を訴えた。しかし、当該事実は第一審において一切主張されておらず、裁判の記録を精査してもこれを確認できる証拠資料は全く存在しなかった。
あてはめ
本件において、上告人が主張する拷問等の事実は、前審(第一審)で全く争われておらず、記録上これを認めるべき資料も何ら存在しない。そうである以上、憲法違反の主張がなされても、その土台となる事実関係が確定していないため、上告理由としての適格性を欠くといえる。
結論
拷問等の事実を前提とする違憲の主張は、前提を欠くため採用できず、本件上告は棄却される。
実務上の射程
刑事訴訟法における上告理由の「違憲」主張(405条1号)において、事実関係の存否が争点となる場合の主張立証の限界を示す。第一審からの適時な主張と証拠提出の重要性を裏付ける事案である。
事件番号: 昭和27(あ)4963 / 裁判年月日: 昭和28年3月5日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】被告人が第一審において証人尋問の申請をせず、かつ原審(控訴審)においてもこれを主張していない場合には、最高裁判所において憲法37条2項違反(証人尋問権の侵害)を主張することは前提を欠き、適法な上告理由とはならない。 第1 事案の概要:被告人が、本件公訴事実について証人の尋問を求めているが、記録によ…