判旨
昭和24年政令第389号(貴金属の管理に関する政令)違反と贓物罪(現行法の盗品等関与罪)が同時に成立する場合、それらは一所為数法の関係(観念的競合)にあり、大赦の適用判断においても一体として扱われる。
問題の所在(論点)
政令違反行為と贓物寄蔵罪が成立する場合の両罪の罪数関係、および当該関係における大赦の適用の可否が問題となる。
規範
一つの行為が二つ以上の罪名に触れる場合(一所為数法)、刑法54条1項前段により観念的競合となり、科刑上一罪として扱われる。この関係にある複数の罪のうち、一方が大赦の対象であっても、他方が大赦の対象外であるときは、全体として免訴の対象とはならない。
重要事実
被告人は、昭和24年政令第389号(貴金属の管理に関する政令)に違反する行為を行うとともに、贓物(盗品等)を寄蔵したとして、贓物寄蔵罪等の罪に問われた。被告人側は、一部の罪について大赦による免訴を主張して上告した。
あてはめ
本件における昭和24年政令389号違反行為と贓物寄蔵の事実は、同一の行為によって引き起こされた「一所為数法」の関係にある。観念的競合の関係にある以上、刑罰権は不可分であり、一部の罪名が大赦の対象に含まれるとしても、他の罪名が対象外である限り、被告人の行為全体について刑罰権が消滅したとはいえない。
結論
本件の政令違反行為と贓物寄蔵罪は一所為数法の関係にあり、大赦には当たらない。したがって、上告は棄却される。
実務上の射程
罪数論における観念的競合の処理と、免訴(大赦)の判断基準を示す。答案上では、複数の構成要件に該当する事実が一個の行為と評価される場合の処断、およびそれに伴う手続法上の効果(免訴の範囲)を論じる際の基礎となる。
事件番号: 昭和27(あ)1809 / 裁判年月日: 昭和27年10月2日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】一罪が複数の罪名に触れる観念的競合(刑法54条1項前段)の関係にある場合、その一部の罪が恩赦(大赦)の対象であっても、他の罪が対象外であれば、大赦令2条に基づき全体として赦免の効力は及ばない。 第1 事案の概要:被告人Aは、占領軍に属する拳銃および実砲を所持していた。この行為は、昭和24年政令第3…
事件番号: 昭和26(あ)3181 / 裁判年月日: 昭和28年4月14日 / 結論: その他
【結論(判旨の要点)】公訴事実の一部について大赦があった場合、裁判所は刑訴法337条3号に基づき免訴を言い渡すべきであり、確定した他の罪があるときは別途刑を定めるべきである。 第1 事案の概要:被告人は、連合国占領軍の財産であるラジオ真空管を所持したとして昭和24年政令第389号違反の罪に問われるとともに、窃盗罪でも起…
事件番号: 昭和27(あ)5250 / 裁判年月日: 昭和28年4月3日 / 結論: その他
【結論(判旨の要点)】連合国占領軍財産等収受所持禁止令違反の罪について、判決確定前に大赦令が公布された場合、刑事訴訟法337条3号に基づき免訴を言い渡すべきである。また、窃盗罪については大赦の対象外であるため、刑法235条を適用して処断する。 第1 事案の概要:被告人は、窃盗罪および連合国占領軍財産等収受所持禁止令(昭…
事件番号: 昭和26(あ)3788 / 裁判年月日: 昭和28年5月15日 / 結論: 棄却
他人から預つた物を他に届けた以上、その間預つた物を事実上「自分の支配し得べき状態」に置いたものであることはいうまでもない。
事件番号: 昭和28(あ)4078 / 裁判年月日: 昭和30年6月21日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】政令による大赦の対象範囲の制限は恩赦法2条に反せず有効であり、大赦の対象から除外された罪については免訴の言渡しをすることはできない。 第1 事案の概要:被告人は米国軍票所持罪に問われていたが、昭和27年政令117号1条83号本文によれば同罪は大赦の対象となり得るものであった。しかし、同号但書によっ…