判旨
刑事訴訟規則の改正により、公判調書には裁判長が認印をすれば足り、署名押印の必要はなくなったため、署名がないことを理由とする法令違反の主張は上告理由に当たらない。
問題の所在(論点)
公判調書に裁判長の署名押印がなく、認印のみがなされている場合、それが刑事訴訟法上の法令違反として上告理由(刑訴法405条)に該当するか。
規範
昭和27年2月1日以降の刑事訴訟規則46条1項の改正規定により、公判調書については裁判長が認印をすれば足り、署名押印をする必要はない。
重要事実
被告人らの弁護人が、公判調書に裁判長の署名押印がないことを単なる法令違反(刑訴法405条の上告理由)として主張し、上告した事案である。
あてはめ
本件では公判調書における署名押印の欠如が争点となっているが、適用されるべき昭和27年改正後の刑事訴訟規則46条1項によれば、裁判長は認印をすれば足りるとされている。したがって、署名押印がなされていないことは適法な手続に則ったものであり、法令に違反する点は認められない。また、記録を精査しても刑訴法411条を適用して職権で判決を取り消すべき事由も発見できない。
結論
公判調書に裁判長の署名押印がないことは法令違反に当たらず、本件上告は刑訴法405条の上告理由を備えないため、棄却される。
実務上の射程
刑事手続における公判調書の形式的要件(裁判長の認印)に関する実務上の取扱いを認めたものである。答案作成上は、公判調書の証拠能力や手続の適法性が問題となる場面で、規則改正後の簡略化された署名代用手続(認印)の有効性を裏付ける根拠として参照し得る。
事件番号: 昭和28(あ)5212 / 裁判年月日: 昭和30年8月26日 / 結論: 棄却
本件公判調書は昭和二七年二月一日改正施行された刑訴規則四四条の規定に従い作成されたものであるから、同条の必要的記載事項以外の事項はその記載が省略されているのである。従つて起訴状の朗読及び刑訴二九一条二項の手続が行われた旨公判調書に記載がないのは両手続が適法に履践されたと推認すべきであり、ことに右両手続の行われなかつたこ…