窃盗の犯罪事実の一につき累犯にあたらない場合に累犯加重をした違法があつても、他の犯罪事実につき適法に累犯加重がなされ、その事実を最も重しと認めて併合罪加重をした所定刑期範囲内で処断された趣旨が明であるときは、未だ右違法は刑訴四一一条を適用すべきものとは認められない。
刑訴法第四一一条にあたらない一事例―併合罪の一につき誤つて累犯加重をしたとき―
刑訴法411条,刑法56条,刑法57条,刑法45条
判旨
告訴取消の意思表示の有無は、書面の記載内容や当時の状況を総合して客観的に判断すべきであり、単なる宥恕の意思表明等は告訴取消には当たらない。
問題の所在(論点)
被害者が作成し提出した書面が、刑事訴訟法237条1項にいう「告訴の取消し」に該当するか。特に、単なる被害感情の緩和や宥恕の意思表示と、告訴取消としての法的効果を伴う意思表示の区別が問題となる。
規範
告訴の取消し(刑事訴訟法237条1項)が認められるためには、告訴人によって公訴の提起を求めないという明確な意思表示がなされる必要がある。書面の提出がある場合、その記載内容が告訴を撤回する趣旨であるか否かは、文言のみならず、提出の経緯や目的を総合して客観的に判断される。
重要事実
被告人が犯した罪(判決文からは具体的な罪名は不明、第一及び第三の事実とされる)について、被害者側から書面(記録141丁)が提出された。弁護人は、当該書面には告訴を取り消す旨の意思表示が含まれていると主張して、公訴棄却等の有利な判断を求めた。
あてはめ
本件において提出された書面の趣旨を検討するに、弁護人はこれを告訴取消であると主張するが、書面の具体的な文言や背景事情に照らせば、告訴を確定的に撤回するまでの意思が含まれているとは認められない。したがって、当該書面は単なる事情説明や被害者の心情を述べたものに過ぎず、告訴取消としての法的効力を認めることはできない。
結論
本件書面の提出をもって告訴の取消しがあったとは認められない。したがって、第一審または控訴審において告訴取消を前提とした手続上の判断(公訴棄却等)を行わなかったことに違法はなく、上告は棄却される。
実務上の射程
告訴不可分の原則が適用される親告罪において、告訴取消の有無は訴訟条件を左右する重要事項である。本判決は、提出された書面が「告訴取消」に該当するか否かは実質的に判断されるべきであることを示しており、答案上は、単なる『許す』という文言だけでなく、処罰を求めないという明確な意思の有無を検討する際の根拠となる。
事件番号: 昭和26(あ)4083 / 裁判年月日: 昭和28年5月27日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】被告人の供述を内容とする第三者の供述調書であっても、被告人が証拠とすることに同意し、裁判所が相当と認めたときは、刑訴法326条に基づき証拠能力を有する。 第1 事案の概要:被告人が木材を筏ったとされる事実に関する刑事事件において、検察官は検察事務官が作成した第三者Aに対する供述調書の取調を請求した…