判旨
臨時物資需給調整法の失効を前提とする上告趣意は判例に照らし採用できない。また、公訴事実のうち大赦の対象となった事実については免訴とし、それ以外の軽油・重油の買受事案については行為時法を適用して処断するのが相当である。
問題の所在(論点)
1. 臨時物資需給調整法が昭和23年4月1日をもって失効したといえるか。 2. 係属中に大赦があった事案の処理および、行為時法と裁判時法で罰金刑に変更があった場合の適用法条。
規範
法律が有効に存続している以上、その失効を前提とする主張は認められない。また、裁判確定前に政令等による大赦があった場合には、刑事訴訟法に基づき免訴の判決を言い渡すべきであり、それ以外の犯罪事実については、刑法6条・10条の規定に従い、行為時法と裁判時法を比較して軽微な方の刑を適用する。
重要事実
被告人両名は、臨時物資需給調整法および石油製品配給規則に違反し、モビール油、軽油、重油を買い受けた。上告審において、被告人らは同法が昭和23年に失効したと主張した。また、公訴事実のうちモビール油の買受に関しては、昭和27年政令第117号(大赦令)の対象となった。
あてはめ
1. 臨時物資需給調整法の失効については、最高裁昭和26年3月1日判決の判例により否定されており、本件でも同法は有効である。したがって、同法違反の罪は成立しうる。 2. モビール油買受の事実については、大赦があったため刑事訴訟法411条5号、337条3号に基づき免訴を免れない。 3. その他の軽油・重油買受については、行為後に罰金等臨時措置法により罰金刑の変更があったが、刑法6条・10条により、重い裁判時法ではなく軽い行為時法を適用して処断する。
結論
モビール油買受については免訴。軽油・重油買受については、行為時法に基づき各被告人を懲役6月および罰金7万円に処する。
事件番号: 昭和27(あ)346 / 裁判年月日: 昭和28年7月22日 / 結論: その他
【結論(判旨の要点)】被告人の潤滑油譲受の事実が大赦令の対象となる場合、裁判所は職権で原判決を破棄し、当該事実について免訴の言渡しをしなければならない。一方、大赦の対象外である他の公訴事実については、行為時法に基づき処断すべきである。 第1 事案の概要:被告人は潤滑油(モビール油)、軽油、及び重油を譲り受けたとして臨時…
実務上の射程
法令の改廃や大赦があった場合の刑事訴訟上の処理(免訴)および、刑法6条(法律の変更)の適用場面における実務的な判断枠組みを示している。特に限時法の効力や、刑の軽重比較の原則を再確認する際に参照される。
事件番号: 昭和26(あ)1662 / 裁判年月日: 昭和28年2月24日 / 結論: その他
【結論(判旨の要点)】公訴事実の一部について大赦があった場合、当該部分については免訴の言渡しをすべきであり、大赦の対象とならない他の罪については、適法に確定した事実に基づき刑を科すべきである。 第1 事案の概要:被告人A及びBは、共謀または単独でモビール油および軽油を不法に譲受・譲渡したとして、臨時物資需給調整法違反等…
事件番号: 昭和27(あ)729 / 裁判年月日: 昭和27年11月21日 / 結論: その他
【結論(判旨の要点)】公訴事実の一部について大赦があった場合、当該部分については免訴の言渡しをすべきであり、大赦の対象外である他の公訴事実については別途刑を量定すべきである。 第1 事案の概要:被告人両名は、スピンドル油、パラフィン、モビール油の不法譲受け(石油製品配給規則12条違反)、およびB重油の譲受けの事実により…
事件番号: 昭和27(あ)4912 / 裁判年月日: 昭和28年11月17日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】臨時物資需給調整法に基づく石油製品配給規則等が失効した場合であっても、法律の附則に「失効前の行為に対する罰則の適用については、なおその効力を有する」旨の経過規定があるときは、刑法6条(刑の廃止)には当たらず、処罰は維持される。 第1 事案の概要:被告人は、当時の「石油製品配給規則」等に違反する行為…
事件番号: 昭和27(あ)606 / 裁判年月日: 昭和27年12月12日 / 結論: その他
【結論(判旨の要点)】大赦令の施行により公訴事実の一部に大赦があった場合、裁判所は当該事実について免訴の言渡しをしなければならない。また、残余の事実については法律を適用して処罰し、併合罪として刑を量定すべきである。 第1 事案の概要:被告人は、臨時物資需給調整法及び石油製品配給規則等に違反し、機械油や揮発油、軽油等の石…