原判決は、第一審判決中被告人に関する部分を破棄した上、新たに証拠説明をやり直しているから、自ら事実認定をして第一審判決の摘示事実を引用した趣旨と解される。従つて原判決には所論のように理由を附しないという違法はない。
第二審において、第一審判決を破棄自判するに当り、自ら証拠説明をしている場合と、第一審認定の摘示事実の引用
刑訴法380条,刑訴法397条,刑訴法335条
判旨
控訴審判決が第一審判決を破棄した上で証拠説明をやり直している場合、自ら事実認定を行い第一審判決の摘示事実を引用したものと解される。したがって、このような判決構成は理由不備の違法(刑事訴訟法378条4号)には当たらない。
問題の所在(論点)
控訴審が第一審判決を破棄した際、証拠説明をやり直した上で第一審の摘示事実を引用する手法をとることが、刑事訴訟法上の理由不備(378条4号)に該当するか。
規範
控訴裁判所が第一審判決を破棄して自ら判決をする場合において、証拠の説明を改めて行い、第一審判決が摘示した事実を援用・引用する形式を採ることは、実質的に自ら事実認定を行ったものと評価できるため、適法である。
重要事実
第一審判決に対し被告人が控訴したところ、原審(控訴審)は第一審判決中の被告人に関する部分を破棄した。その際、原審は証拠説明をやり直した上で、第一審判決が摘示した事実を引用する形で事実認定を行った。これに対し、弁護人は原判決には理由が附されていない(理由不備)として上告した。
あてはめ
原判決は第一審判決を破棄した上で、あらためて証拠の説明を行っている。このプロセスは、原審が自ら証拠を検討し、その結果として第一審の認定事実に到達したことを示すものである。したがって、形式的に第一審の事実を引用していても、それは原審独自の事実認定の結果を表現したものと解される。刑訴規則253条の趣旨に照らしても、このような判決構成に違法はない。
結論
原判決には理由不備の違法はなく、上告は棄却される。
実務上の射程
刑事訴訟における控訴審判決の理由の記載方法に関する実務上の指針となる。破棄自判において第一審の認定事実を引用する手法が許容されることを示しており、答案作成上は判決理由の備給(刑訴法335条1項)や破棄自判の方式を論じる際の根拠として活用できる。
事件番号: 昭和25(れ)1819 / 裁判年月日: 昭和26年3月1日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】控訴裁判所は、第一審判決に示された事実および証拠を引用することができ、これを行った判決に証拠理由の説示を欠く違法はない。 第1 事案の概要:被告人が贓物(盗品等)罪に問われた事案において、控訴審判決が、第一審判決に示された事実および証拠を引用する形で判決を下した。これに対し弁護人は、控訴審判決自体…