貸金業等の取締に関する法律第五条の規定は、同法施行前から引き続き貸金業を行つている者が、同法附則第二項所定の期間内に同法第三条の規定による届出書を大蔵大臣に提出しなかつた者が、右期間経過後に更に貸金業を継続する傍ら同法施行前の貸金債権の利息等を受領する行為にも適用されるものと解すべきである。
貸金業等の取締に関する法律第五条にいわゆる貸金業の範囲
貸金業等の取締に関する法律2条,貸金業等の取締に関する法律3条,貸金業等の取締に関する法律5条,貸金業等の取締に関する法律18条1号,貸金業等の取締に関する法律附則1項,貸金業等の取締に関する法律附則2項,貸金業等の取締に関する法律附則3項
判旨
貸金業等の取締に関する法律に基づく届出をせず、同法上貸金業を行うことができなくなった後であっても、従来の貸金債権に係る利息等を受領する行為には、同法5条の高金利制限規定が適用される。
問題の所在(論点)
貸金業等の取締に関する法律施行前から貸金業を行っていた者が、法所定の届出をせずに貸金業を行うことができなくなった後に、従来の貸金債権の利息等を受領する行為について、同法5条(利息等の制限)が適用されるか。
規範
貸金業を営むことができなくなった者が、過去の営業から生じた債権について利息や損害金を受領する行為は、法5条の適用対象となる。貸金業者としての地位を喪失した後であっても、貸付けに付随する利息等の受領行為については、同法の規制が及ぶと解すべきである。
重要事実
被告人は貸金業等の取締に関する法律の施行前から貸金業を行っていたが、同法附則2項に定められた期間内に、同法3条に基づく届出書を大蔵大臣に提出しなかった。そのため、当該期間経過後は法的に貸金業を行うことができない状態(無届業者)となったが、その後も従前の貸付けに基づく利息を受領し続けた。
事件番号: 昭和27(あ)1116 / 裁判年月日: 昭和28年7月17日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】旧貸金業法に基づく届出を怠り、貸金業を行うことができなくなった後であっても、従来の貸金債権に係る利息等を受領する行為には、同法の利息制限規定(5条)が適用される。 第1 事案の概要:被告人は、貸金業等の取締に関する法律(旧法)の施行前から貸金業を営んでいた。同法附則2項は、既存の業者に対し一定期間…
あてはめ
被告人は、法附則に基づき貸金業を継続するために必要な届出を行っておらず、法的には貸金業を行うことができなくなっていた。しかし、同法5条が制限する利息等の受領は、現実に貸金業を営んでいるか否かという形式的な資格の有無だけでなく、実質的に貸付けから生じる収益の適正化を目的としている。したがって、届出を怠り営業停止状態にある者が、過去の貸付けから生じた利息を取り立てる行為も、依然として同法の規制対象となる「貸付けに付随する行為」に該当すると判断される。
結論
被告人の行為には貸金業等の取締に関する法律5条が適用され、同条違反の罪が成立する。
実務上の射程
本判決は、行政上の登録や届出を欠く「闇金」や、廃業後の債権回収であっても、貸金業法(現行法)上の利息制限規定の適用を免れないことを示す。実務上は、無登録業者が法外な利息を受領した場合に、刑事罰や公序良俗違反による無効を主張する際の根拠として機能する。
事件番号: 昭和27(あ)1063 / 裁判年月日: 昭和28年10月27日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】貸金業等の取締に関する法律3条に基づく届出義務に違反し、猶予期間経過後も無届で貸金業を営む行為は、同法5条(現行の貸金業法違反に相当)の処罰対象となる。 第1 事案の概要:被告人は、貸金業等の取締に関する法律(旧法)3条により、大蔵大臣への届出が義務付けられていた。同法附則2項には届出に関する猶予…
事件番号: 昭和27(あ)2827 / 裁判年月日: 昭和29年9月17日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】貸金業等の取締に関する法律における「貸金業」とは、反復継続の意思をもって金銭の貸付け又はその媒介を業として行うことを指し、不特定多数人を相手にする場合に限定されない。 第1 事案の概要:被告人は、貸金業等の取締に関する法律上の登録を受けずに、反復継続して金銭の貸付け等を行ったとして起訴された。弁護…
事件番号: 昭和26(あ)2002 / 裁判年月日: 昭和28年3月11日 / 結論: 棄却
貸金業等の取締に関する法律の附則の規定は届出書が提出されることを前提とした規定であつて届出書を提出せずして引続き貸金を業とする行為まで保護する趣旨ではない。
事件番号: 昭和27(あ)2189 / 裁判年月日: 昭和28年11月10日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】貸金業等の取締に関する法律にいう「業として行う」とは、反復継続して金銭の貸付け等を行うことを指し、必ずしも営利の目的(利益を図ること)を必要としない。 第1 事案の概要:被告人が、貸金業等の取締に関する法律(現:貸金業法)の登録を受けずに金銭の貸付け等を行った。被告人側は、同法5条(現:貸金業法4…