判旨
公訴事実である犯罪について、上告審での判決を待たずして大赦がなされた場合には、刑法上の刑罰権が消滅するため、裁判所は実体判決をなさず、免訴の言渡しをしなければならない。
問題の所在(論点)
上告審において審理を継続中、公訴事実である罪について大赦があった場合、裁判所はどのような判決を下すべきか。
規範
大赦(憲法7条6号、恩赦法2条等)がなされた場合、当該大赦の対象となった罪状については、国家の刑罰権が消滅する。この場合、裁判所は実体的な有罪・無罪の判断を行うことができなくなり、刑事訴訟法に基づき免訴の判決を言い渡すべきものとされる(旧刑事訴訟法363条3号参照)。
重要事実
被告人らは、物価統制令違反の罪に問われ、一審・二審(高松高等裁判所)で有罪判決を受けた。被告人らはこれに不服として最高裁判所へ上告した。しかし、上告審の継続中に、昭和27年政令第117号(大赦令)が公布・施行され、本件公訴にかかる物価統制令違反の罪についても大赦の対象となった。
あてはめ
本件各被告人の犯罪は物価統制令33条および40条に該当するものであるが、昭和27年政令第117号の大赦令により大赦があった。大赦の効力により、当該犯罪に対する刑罰権は消滅している。したがって、原判決の当否を実体的に審理し維持することは不可能となり、手続的に公訴を終結させる必要がある。当時の刑事訴訟法施行法2条により適用される旧刑事訴訟法447条、448条、および363条3号に基づき、免訴の事由に該当すると認められる。
結論
原判決を破棄し、各被告人を免訴する。
実務上の射程
刑事訴訟法337条1号(大赦による免訴)の適用場面を示す典型例。上告審であっても、判決確定前に大赦があれば、事実認定や法令適用の是非に踏み込まず、直ちに免訴の言渡しを行うべきであることを確認した。司法試験上は、免訴判決をすべき事由として条文とともに整理しておくべき知識である。
事件番号: 昭和25(あ)3222 / 裁判年月日: 昭和27年10月21日 / 結論: その他
【結論(判旨の要点)】公訴事実について大赦があったときは、刑事訴訟法337条3号に基づき免訴を言い渡さなければならず、上告審において職権でこれを調査し、原判決を破棄して自判により免訴を言い渡すべきである。 第1 事案の概要:被告人は、物価統制令違反(大豆、小豆、その他の取引制限違反)の罪で起訴され、第一審および控訴審に…
事件番号: 昭和27(あ)5217 / 裁判年月日: 昭和28年4月28日 / 結論: その他
【結論(判旨の要点)】公訴事実の一部について大赦があった場合には、裁判所は刑事訴訟法337条3号に基づき、当該事実について免訴の判決を言い渡さなければならない。 第1 事案の概要:被告人は物価統制令3条違反および詐欺の罪に問われ、第一審および控訴審において有罪判決を受けた。しかし、上告審係属中に「昭和27年政令第117…