判旨
裁判所が被告人のために弁護人を選任し、その弁護人が公判に出頭して弁論を行った上で結審した場合には、弁護人依頼権(憲法37条3項)等の違憲の問題は生じない。
問題の所在(論点)
裁判所が選任した弁護人が出頭・弁論した上で結審した手続について、弁護人依頼権を定めた憲法37条3項等の規定に違反するか。
規範
憲法37条3項の弁護人依頼権を保障する趣旨から、刑事訴訟において被告人の権利を守るために適切な弁護人が付され、かつ実効的な弁論の機会が与えられている場合には、手続上の違憲は認められない。
重要事実
被告人Bに対し、原裁判所は1951年3月15日付で弁護士を弁護人として選任した。同月19日の公判において、当該弁護人は出頭して弁論を行い、その後に結審した。これに対し、被告人側は憲法違反等を理由に上告を申し立てた。
あてはめ
記録によれば、原裁判所は被告人のために適法に弁護士を弁護人として選任している。また、当該弁護人は公判期日に実際に出頭し、弁論という実効的な活動を経た上で結審に至っている。したがって、被告人の防御権が侵害された事実はなく、違憲の主張はその前提を欠くといえる。
結論
本件手続に違憲の点は認められず、上告は棄却されるべきである。
実務上の射程
国選弁護人が選任され、形式的のみならず実際に弁論を行っている場合には、弁護権の侵害を理由とする違憲の主張は認められないことを示す。実務上は、弁護活動の有無という客観的事実が判断の決め手となる。
事件番号: 昭和26(れ)2197 / 裁判年月日: 昭和26年12月21日 / 結論: 棄却
公判開廷直前に被告人の私選した弁護人が辞任した場合、裁判所が弁護人なくして同期日に審理結審しても、被告人において弁護人選任のため公判期日の延期、変更の申請をせず、しかも裁判所も被告人の弁護人選任を妨げた事跡がないときは、憲法第三七条第三項に違反しない。