法令にいう「従前の例による」とは「改正廃止前に行われた違反行為に対してはその改正廃止後も改正廃止前に行われた違反行為の罰則の適用に関する範囲においてはこれを改正廃止しない趣旨であつて、一旦廃止して更に改めて罰則を設けるという趣旨ではない」とするのが当裁判所の判例であるから所論はその前提を欠くもので理由がない。(昭和二五年(あ)八九四号同二六年五月一五日当裁判所判決)。
銃砲刀剣類等所持取締令附則第三項にいう「なお従前の例による」の意義
鉄砲刀剣類等所持取締令(昭和25年政令334号)附則3項
判旨
法令の改正に際し附則に規定される「従前の例による」との文言は、改正前に行われた違反行為に対して、その罰則の適用に関する範囲において改正前の規定を廃止しない趣旨を指す。
問題の所在(論点)
法令の改正・廃止に伴い附則に「従前の例による」との規定が置かれた場合、改正前の違反行為に対して旧法の罰則を適用し処罰を維持することは可能か。「従前の例による」という文言の法的意義が問題となる。
規範
法令にいう「従前の例による」とは、改正廃止前に行われた違反行為に対しては、その改正廃止後も、罰則の適用に関する範囲において当該規定を改正廃止しない趣旨であると解すべきである。これは、一旦罰則を廃止して改めて新設する趣旨ではなく、旧来の処罰規定を当該行為との関係で存続させるものである。
重要事実
被告人が法令の改正前に違反行為を行った事案において、改正後の法令に「従前の例による」との附則の経過規定が置かれていた。弁護人は、改正によって旧規定がいったん廃止された以上、処罰は許されない旨を主張して上告した。
事件番号: 昭和26(れ)2350 / 裁判年月日: 昭和27年3月27日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】旧銃砲等所持禁止令が憲法に違反しないことは判例の確立したところであり、また昭和22年法律第72号1条の2の規定に照らし、同令が昭和22年12月31日をもって当然に失効することはない。 第1 事案の概要:被告人は銃砲等の所持禁止に抵触する行為を行い、旧銃砲等所持禁止令(および銃砲刀剣類等所持取締令附…
あてはめ
本件において、原審は旧令を適用すべき事案に対し、改正後の附則に基づきその適用を維持している。この「従前の例による」との規定は、改正前の違反行為に対する罰則の適用範囲を限定的に存続させるものであり、実質的に当該行為との関係で規定が失効していないことを意味する。したがって、弁護人が主張する「一旦廃止して改めて罰則を設けた」という事実は認められず、旧規定の効力は維持されているといえる。
結論
「従前の例による」との経過規定がある場合、改正前の違反行為に対して旧法の罰則を適用することは適法である。
実務上の射程
法令の改廃に伴う経過措置の解釈におけるリーディングケース。刑法6条(刑の軽重)の適用や、廃止による処罰の可否が争点となる事案において、附則に「従前の例による」との文言があれば、限時法的な解釈や「法律の改廃による刑の廃止」には当たらないとする構成をとる際に引用すべき判例である。
事件番号: 昭和26(れ)477 / 裁判年月日: 昭和26年6月14日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】上告理由が単なる量刑不当の主張に帰する場合、刑事訴訟法応急措置法13条2項に基づき、適法な上告理由には当たらない。 第1 事案の概要:被告人が上告を提起したが、その上告趣意の内容が実質的に原判決の量刑が不当であるという点に尽きていた事案である。 第2 問題の所在(論点):上告趣意が単なる量刑不当の…
事件番号: 昭和26(れ)157 / 裁判年月日: 昭和26年6月29日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】事実誤認または量刑不当の主張は、刑訴応急措置法13条2項に基づき、適法な上告理由には当たらない。 第1 事案の概要:被告人が原判決に対して上告を申し立てた事案。弁護人が提出した上告趣意書において、原判決における事実の認定に誤りがあること、および、宣告された刑の量定が不当に重いことを主張した。 第2…
事件番号: 昭和26(あ)3022 / 裁判年月日: 昭和27年2月15日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】上告理由として憲法違反を主張する場合であっても、具体的にその理由を明らかにしないときは、上告の適法な理由とは認められない。 第1 事案の概要:被告人が憲法違反を主張して上告を申し立てたが、その具体的な理由については何ら明らかにしていなかった事案である。 第2 問題の所在(論点):上告理由として憲法…
事件番号: 昭和26(あ)4536 / 裁判年月日: 昭和27年9月25日 / 結論: 棄却
所持罪のような継続犯については、一個の罪が成立しその継続中、たといその刑罰法規に変更があつても、刑法六条による新旧両法対照の問題はおこらず、常に新法を適用処断するを相当とする。