判旨
大赦令の施行により、大赦の対象となった罪(法人税法・営業税法違反)については免訴とすべきであるが、大赦の対象外である罪(物品税法違反)については、別途刑を科すべきである。
問題の所在(論点)
上告審継続中に一部の罪について大赦があった場合、裁判所はどのような措置を講ずるべきか。また、大赦の対象外である罪の処理はどうあるべきか。
規範
大赦(刑訴法337条3号)があったときは免訴の言渡しをしなければならない。数個の犯罪事実が併合罪等の関係にある場合であっても、大赦の効力は特定の罪ごとに及ぶため、対象外の罪については依然として刑罰権が存続し、有罪判決を維持することができる。
重要事実
被告会社および被告人A、B、Cは、法人税法違反、営業税法違反、および物品税法違反の罪に問われ、第一審および控訴審で有罪判決を受けていた。上告審継続中に昭和27年政令第117号(大赦令)が公布・施行され、その対象に法人税法および営業税法違反が含まれていたが、物品税法違反は大赦の対象外であった。
あてはめ
本件における法人税法および営業税法違反の罪については、大赦令の施行により刑を免じられたため、刑訴法337条3号に基づき免訴を言い渡すべきである。一方で、物品税法違反については、大赦の対象外である。原判決および第一審判決は、免訴すべき罪を含めて一体として刑を科しているため、これを破棄した上で、物品税法違反の事実について改めて法令を適用し、被告会社に罰金、被告人らに懲役(執行猶予付)を科すのが相当である。
結論
法人税法・営業税法違反については免訴とする。物品税法違反については、原判決等を破棄した上で、被告人らに対し改めて有罪判決(懲役または罰金)を言い渡す。
実務上の射程
事件番号: 昭和24新(れ)169 / 裁判年月日: 昭和27年6月18日 / 結論: その他
【結論(判旨の要点)】大赦令の施行により公訴事実に係る罪が大赦の対象となった場合には、刑事訴訟法337条3号に基づき免訴の言渡しをしなければならない。 第1 事案の概要:被告人である小久保産業株式会社およびその代表者は、法人税法違反および所得税法違反の罪に問われ、第一審および控訴審で有罪判決ないし控訴棄却判決を受けた。…
併合罪関係にある数罪の一部について大赦や法令改廃による刑の廃止があった場合の処理を示す。実務上は、免訴部分を切り離し、残余の罪について量刑を再検討した上で自判または差し戻すという処理の指針となる。
事件番号: 昭和25(あ)3182 / 裁判年月日: 昭和27年11月18日 / 結論: その他
【結論(判旨の要点)】判決後に大赦令(昭和27年政令117号)が公布された場合、公訴事実のうち当該大赦の対象となる罪については、刑事訴訟法337条3号に基づき免訴を言い渡すべきである。 第1 事案の概要:被告人は所得税法違反および取引高税法違反の罪で起訴され、第一審および控訴審で有罪判決を受けた。被告人が上告していたと…
事件番号: 昭和27(あ)3023 / 裁判年月日: 昭和27年12月26日 / 結論: その他
【結論(判旨の要点)】大赦(昭和27年政令第117号)がなされた公訴事実については、刑訴法337条3号に基づき免訴すべきであり、これに該当しない余の罪については適法に処断されるべきである。 第1 事案の概要:被告人Aは臨時物資需給調整法違反、物価統制令違反、および食糧管理法違反の罪で起訴され、被告人Bは物価統制令違反お…
事件番号: 昭和26(あ)4780 / 裁判年月日: 昭和27年11月13日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】数個の罪が併合罪として処断された後、その一部の罪が大赦により赦免された場合、上告審は職権により原判決を破棄し、赦免された罪について免訴、他の罪について刑を言い渡すべきである。 第1 事案の概要:被告人AおよびBは、窃盗罪(刑法235条)と、臨時物資需給調整法および衣料品配給規則違反(無登録衣料品販…
事件番号: 昭和26(あ)3828 / 裁判年月日: 昭和27年11月7日 / 結論: その他
【結論(判旨の要点)】大赦令の施行により公訴事実の一部について大赦があった場合、当該事実については免訴の言渡しをすべきであり、その余の犯罪事実については原判決を破棄した上で改めて刑を量定すべきである。 第1 事案の概要:被告人は、法定の除外事由がないにもかかわらず、配給割当公文書と引き換えずにマシン油及びシリンダー油等…